2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの「器用さ」解明のための手・前腕動作に関与する筋骨格シナジーの抽出
Project/Area Number |
20K23345
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
趙 崇貴 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50881653)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚表面形状 / 距離センサアレイ / 筋骨格シナジー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は前年度の研究計画に則り,手・前腕動作に対応した筋骨格シナジー抽出に基づく単一・複合関節運動を対象とした動作推定を通した,シナジーの表現力検証に着手した.また,皮膚表面形状を計測するデバイスについて,より簡便に計測が可能なよう改良を施した. 初めに計測デバイスについては,これまでに開発・改良を重ねてきた距離センサアレイに対して,使用する距離センサを見直すことにより,詳細な皮膚表面形状を計測可能なよう改良を施した.センサを変更したことにより,デバイス全体の配線が簡素化されたため,簡易に装着が可能かつ上肢の動作を阻害しづらいよう改良された. 次にシナジーの表現力検証については,様々な前腕の姿勢(前腕回内外自由度の変化など)における手の動作時の皮膚表面形状を計測し,前年度に開発した独立成分分析に基づくシナジー抽出手法を用いて,単関節運動のシナジーを抽出し,それを組み合わせることにより複合関節運動を表現可能か検証した.検証の結果,同様の手の動作であっても前腕の姿勢によって皮膚表面形状自体が非線形に変化するため,それによってこれまでに開発したシナジー抽出手法では複雑な筋骨格の協調に十分に対応できないことが明らかとなった. 本研究の結果より,単一関節運動を基準として皮膚表面形状からシナジーを抽出し,複合関節運動を表現するためには,前腕の姿勢変化による非線形な表面形状の変化を考慮した特徴抽出が必要となることが示された.また,皮膚表面形状・体組織活動・シナジーと手・前腕動作の関係を解析するうえでは,単関節運動のように関節軸を基準とするのではなく,解剖学的な筋肉の作用を考慮した基準動作の選定が効果的な可能性についても,本研究を遂行したことによって得られた知見である.
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