2020 Fiscal Year Research-status Report
An ERP study on sense of presence with respect to visual realism in virtual environment
Project/Area Number |
20K23347
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤間 章英 前橋工科大学, 工学部, 助教 (00847733)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 臨場感 / バーチャルリアリティ / 事象関連電位 / ワーキングメモリ / 質感 |
Outline of Annual Research Achievements |
多岐にわたる分野で活用が期待されている、バーチャルリアリティ技術に関して、没入した仮想空間内での体験を質的に向上させるためには、自身がその場にいると感じる「臨場感」の向上が必要であると指摘されている。しかしながら、主観評価による検討では、コンピュータの処理負荷が高い、現実的表現が臨場感に影響を与えるかに関して意見が対立している。そこで、本研究では、仮想空間の現実的表現が臨場感に与える影響を、主観評価と記憶課題の行動成績から検討し、記憶課題時の脳波事象関連電位(ERP)から臨場感に影響する認知処理を明らかにすることを目的としている。 本課題の初年度である令和2年度は、実験に用いる仮想空間の構築、空間内に配置する3次元立体の決定、記憶課題用の実験プログラムの作成を行った。また、本研究課題に用いる仮想空間とは異なる空間ではあるが、実験参加者にヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着させ、仮想空間内を実際に歩いて回らせる探索課題も実施した。探索課題を通じて、課題中のHMDの仮想空間内での空間座標と方位の時系列データの記録が可能であることを確認した。本実験では、実験参加者に仮想空間内を探索させ、空間内に配置された3次元立体を記憶させることから、空間座標と方位の時系列データを用いて、参加者が3次元立体を視界に入れていた実際の時間を算出する。算出した時間データは、記憶課題の行動成績やERPの解析に用いることを検討している。 令和3年度には、本実験を行い、研究成果を学会・学術誌等で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮想空間の構築、配置する3次元立体の決定、記憶課題用実験プログラムの作成は済んでおり、仮想空間を探索している間の空間座標と方位の時系列データが記録可能なことを確認できたことから、本実験へスムーズに移行する準備ができている。そのため、おおむね順調に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、仮想空間を自由に巡回する探索課題と、探索課題時に記憶した3次元立体に関する記憶課題を行い、記憶課題時のERPを計測する本実験を行う。ERPの計測に必要な脳波計とその周辺機器は令和3年7月末までに調達されることが決まっているため、それまでは、作成した実験用の仮想空間にHMDの空間座標と方位の時系列データを記憶するプログラムを組み込み、再度予備実験を行い、最終調整をする予定である。また、空間座標と方位の時系列データから参加者が3次元立体を視界に入れていた実際の時間を算出するプログラムの作成も行う。7月末以降は、本実験を開始し、得られた主観評価、行動成績、ERPの解析を行い、成果を学会や学術誌等で発表する。 新型コロナウイルスの感染拡大により、実験の実施が困難となる可能性があることも十分に考慮する必要がある。そのため、実験実施は感染拡大状況を見極めながら判断し、必要であれば研究期間の延長を申請することも想定している。実験が実施できない期間には、本実験へ滞りなく移行するために、実験用プログラムの見直しや、ダミーデータを用いて解析プログラムの効率化を行うなどの準備に注力する。
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Causes of Carryover |
物品費に関して、物品費の一部を学内予算から支出できたため、次年度使用額が生じた。これに伴い、前倒し支払い請求を行って購入する予定であった、脳波計よりも上位機種のモデルを購入可能になったため、再度脳波計の選定を行った。次年度に、選定した脳波計を調達する。 旅費およびその他の予算に関しては、成果発表を次年度以降に行うこととしたため、次年度使用額が生じた。本年度予定していた予算に関しては、次年度の学会参加および論文出版費用に当てる。 人件費・謝金に関しては、参加者の同意を得て、謝金なしで予備実験を実施できたため、次年度使用額が生じた。本年度予定していた予算に関しては、次年度の実験参加者の増員分に当てる。
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