2020 Fiscal Year Research-status Report
ユーザに合わせた安心感を与える人-ロボット間の抱擁モデルの生成
Project/Area Number |
20K23358
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
大西 裕也 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, インタラクション科学研究所, 研究員 (70881043)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ソーシャルタッチインタラクション / ヒューマンロボットインタラクション / リモートタッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「ロボットと人との抱擁におけるユーザに安心感を与える抱擁モデルの確立」及び「ユーザの年齢や性別の違いに合わせた抱擁モデルの生成」である.本年度は,ユーザに安心感を与える抱擁モデルの確立に向け,過去に開発した人を抱き返す機能を備えたMoffuly(着ぐるみサイズのぬいぐるみ型のロボット)の抱擁のモダリティを追加した.研究開始時は,ぎゅっと強く抱きしめる動作やユーザの背中を撫でる動作といった抱擁が有効ではないかと考えていたが,予備実験よりユーザの頭部を撫でたりトントンと軽く叩いたりといった動作も有効ではないかという仮説が立った.そこで,Moffulyの大幅な改良を行い,現在は,①背中・頭の任意の部位に触れる,②背中をぎゅっと強く抱きしめる,③背中・頭をトントンと軽く叩く,④背中・頭を撫でる,といった抱擁動作が可能である.実験では,ロボットが人に対していつ,どの部位に,どのような動作で抱擁することがユーザに安心感を与えることができるのかを調査している.現在,緊急事態宣言の発令により被験者実験が中断されているため,宣言の解除後から実験を継続して実施する. また,親子や友人を対象とした遠隔抱擁の実験も計画している.遠隔地にいる相手がロボットを操作している状況を想起している場合では,対話者との関係性・年齢,性別など,状況によって抱擁動作が異なることも考えられる.親子や友人といったユーザの属性から得た抱擁モデルとユーザに安心感を与える抱擁モデルを比較し,ユーザの年齢や性別の違いに合わせた抱擁モデルの生成を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,過去に開発した人を抱き返す機能を備えたロボットMoffulyを使用しているが,実験を実施する上でいくつか問題点があった.過去に開発したロボットに用いているモータの性能が原因で,抱擁が弱い点,長時間の運用に向いていない点などである.そのため,モータの変更を含む大幅な改良を行った.Moffulyは現在,①背中・頭の任意の部位に触れる,②背中をぎゅっと強く抱きしめる,③背中・頭をトントンと軽く叩く,④背中・頭を撫でるといった抱擁動作が可能である.また,モータに負荷がかからないように制御を行い長時間の運用を可能としている.実験は,緊急事態宣言の解除後から実施する予定である.本研究は抱擁といった身体接触を行うため,被験者実験は細心の注意を払う必要がある.上記の機能を備えたMoffulyを複数台製作しており,同じデバイスを異なる被験者が連続して使用することを避けている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況でも述べた通り,ロボットによる抱擁動作がユーザに与える安心感を調査する実験を緊急事態宣言解除後に実施する.また,親子や友人を対象としたロボットを介した人同士の抱擁を行いながら簡単な会話を行う実験も実施する.ロボットに圧力センサを取り付け,実験より得たセンサ情報や録画映像からの観察データにより,性別や年齢,会話内容に応じたユーザの抱擁の方法の違いを得る.例えば,親子のような年齢の違いによる抱擁の場合,親は子供に対して軽く叩いたり撫でたりといった動作がみられるかもしれない.また,大人同士の抱擁であっても相手の性別によって抱擁の強度や相手に対して預ける体重が変化するかもしれない.このようなユーザの属性から得た抱擁モデルとロボットとの抱擁モデルの違いを調査する.
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Causes of Carryover |
初年度は,新型コロナウイルスによる影響から,研究会への参加や実験が実施を見合わせたことにより,旅費や人件費・謝金が発生しなかった.次年度は,緊急事態宣言解除後に実験の実施を計画しており,次年度使用額は人件費・謝金に使用する予定である.
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