乾燥地における放牧が土壌からのCO2排出量におよぼす影響の評価

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K23365
• Research Institution: Tottori University
• Principal Investigator: 寺本 宗正 鳥取大学, 乾燥地研究センター, テニュアトラック助教 (10761041)
• Project Period (FY): 2020-09-11 – 2023-03-31
• Keywords: 土壌呼吸 / 炭素循環 / 攪乱影響 / 草原生態系 / 土壌有機炭素

Outline of Annual Research Achievements

乾燥地における代表的な土地利用形態である放牧が、土壌から排出される二酸化炭素（土壌呼吸）におよぼす影響（放牧影響）に関しては、研究によって結果が異なる。本研究では、代表的な乾燥地でありながら観測データが圧倒的に不足しているモンゴルにおける、放牧強度が異なる複数の観測地で土壌呼吸および環境因子（温度、水分環境、植生、土壌炭素）の観測および調査を行う。そこから、各観測地において放牧によってどれほど土壌呼吸が変化したのか、環境因子から放牧影響の違いが説明できるのか、また、どの環境因子が放牧影響に最も寄与するのかを明らかにすることを目的とする。その研究目的を達成するための準備として、これまでモンゴルにおける環境観測を想定し、環境観測機器の選定やセンサーの校正方法の検討を行ってきた。
2021年度はモンゴルに渡航した上で現地観測を行う予定であったが、2020年度に引き続き新型コロナウィルスの影響で海外渡航が不可能な状態であり、現地観測を行うことができなかった。現地観測データは本研究の中核をなすものであり、それなしには研究目的を達成することは難しい。そのため、2022年度まで研究期間の延長を申請した上で当初の研究計画を大幅に見直し、2022年度における研究に備えることとした。当初は複数回の観測によって、土壌呼吸の温度や水分に対する応答性も把握する予定であったが、2022年度もすぐに現地渡航が可能となることは考えにくい。そのため、2022年度は各観測地における1回の観測によってデータのとりまとめを行うことが可能になるよう、準備を進めていく予定である。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

新型コロナウィルスの影響で海外渡航が不可能であったため、本研究の核となる現地観測データが取得できていない。

Strategy for Future Research Activity

研究期間の延長申請（2022年度まで）を行ったうえで、2022年度は海外渡航が可能になり次第現地における土壌呼吸観測および環境観測を実施する。2022年度も早い段階での海外渡航は難しいことが想定されるため、当初の渡航予定回数を見直し、夏季から秋季にかけて最低1回の渡航でデータのとりまとめが可能な研究体制を取れるように準備を進める。2022年7月の段階で渡航が難しい場合は、現地観測ではないものの、現地研究協力者を通じた観測予定地における土壌の輸入および人工気象室における土壌の培養を通じた土壌呼吸の比較も検討する。

Causes of Carryover

新型コロナウィルスの影響で海外渡航が不可能であったため、本研究の核となる現地観測データが取得できていない。そのため、研究期間延長を申請し、未使用の研究予算全額を2022年度に繰り越すこととした。繰り越し金は2022年度における渡航費、滞在費、不足するセンサーやデータロガーの購入費にあてる予定である。