2022 Fiscal Year Research-status Report
乾燥地における放牧が土壌からのCO2排出量におよぼす影響の評価
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20K23365
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
寺本 宗正 鳥取大学, 乾燥地研究センター, テニュアトラック助教 (10761041)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | チャンバー法 / 炭素循環 / 土地劣化 / 過放牧 / 干ばつ / 土壌呼吸 / 撹乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年8月下旬から9月初め、モンゴルにおける3地域(Hustai、Mandalgovi、Bulgan)の草原生態系において土壌から排出される二酸化炭素(土壌呼吸)の観測およびバイオマス調査を実施した。各地域において目視で植生状況を確認し、放牧の影響が大きい調査区(劣化区)と比較的放牧影響が小さい調査区(対照区)を設定し、各調査区で5 m×5 mのコドラートを3点(n =3)設けた。各コドラートの中に、さらに50 cm× 50 cmの小コドラートを3点設定し、土壌呼吸速度を測定した後、小コドラート3点中1点で地下20 cmまで根のサンプリングを行った。Bulganにおける劣化区の一部およびHustaiの全コドラートでは、根のサンプリングと同時に深度別に土壌コアのサンプリングを行い、体積含水率を求めた。 その結果、HustaiとMandalgoviにおいては、対照区の土壌呼吸速度は有意に劣化区における土壌呼吸速度よりも高かった。一方でBulganにおいては、対照区と劣化区の土壌呼吸に有意な差は見られなかった。根のバイオマスに関しては、HustaiとBulganにおいて対照区で有意に劣化区よりも高かった一方で、Mandalgoviにおいては対照区と劣化区の間に有意な差はなかった。 これらの結果から、少なくともHustaiにおいては、放牧によって植物根が減少し、それによって土壌呼吸速度も減少したものと考えられた。一方で、Bulganは調査時、土壌が非常に乾燥した状況にあり、土壌呼吸も乾燥ストレスで抑制されていたものと考えられた。つまりBulganでは、土壌呼吸に対する放牧の影響は乾燥ストレスによって顕在化しなかったことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年まではコロナの影響で一切の渡航が制限されており、現地で調査を実施することができなかった。2022年夏にようやく最初の渡航および調査を実施することができ、非常に有用なデータを得ることができた。しかしながら、現状は当初予定していた調査実施回数よりもまだ少ないため、論文成果としてまとめる上で十分なデータが得られている状況ではない。もう一度調査を実施することで、研究成果として十分なデータを得ることができるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度夏に、昨年と同様の調査を実施する予定である。現在、現地の共同研究者と調査スケジュールを調整中である。今年度の調査によって得たデータを昨年のデータに加え、論文成果として公開することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で2021年度まで一切の海外渡航および現地調査が実施できなかった。2022年夏から渡航が可能となり調査を1度実施できたものの、研究開始当初は複数回の調査を予定しており、そのための予算を計上していた。現状、論文成果として公開するための十分なデータが得られていないため、2023年度に再度調査を行い、論文成果として発表することを目指す。
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Research Products
(2 results)