2023 Fiscal Year Research-status Report
タジキスタンのゾロアスター教・仏教に関する総合的研究:遺跡と写本
Project/Area Number |
20KK0004
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
青木 健 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (50745362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 洋一 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部, 部長 (10250383)
井上 貴恵 明治大学, 文学部, 専任講師 (70845255)
大西 貴夫 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 課長 (80260371)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Keywords | ゾロアスター教 / タジキスタン / パミール高原 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、タジキスタンのパミール高原でのゾロアスター教遺跡・仏教遺跡の調査を意図し、2023年11月~12月に訪日中だったパミール人研究者から重要遺跡を聞き出して、そのマッピングまでを終えた。イスマーイール派の遺跡やスーフィーの遺跡まで、当初意図していた以上の成果が見込まれた。また、偶然遭遇したパキスタン・フンザにルーツを持つ学生の協力を得て、2023年6月~12月に断続的に研究会を開き、パミールからフンザに至る広いエリアの中での多角的な比較研究も計画した。更に、研究分担者の考古学者からのご提案により、これらの遺跡群を3D化して計測する計画も進め、より具体的な研究成果を提出する体制も整った。すなわち、紙上の研究計画としては、かなり望ましいものが仕上がったと考えている。 しかし、このタイミングで、タジキスタン及びパキスタンの外務省危険度レベルが2に達した。研究代表者が所属する大学では、危険度2以上の国や地域への渡航は許可されていない為に、タジキスタン・パキスタンへの渡航計画は、とりあえず一時的に中止せざるを得ない状況に追い込まれた。2024年度には、危険度の引き下げを期待して、このままタジキスタン・パキスタンへの渡航の機会を待つか、それとも周辺諸国で類似したゾロアスター教遺跡の存在を確認できるコーカサス諸国への渡航に切り替えるか、難しい決断を迫られている。とりあえず、コーカサス諸国の中でのアルメニアに関しては、2023年9月に予備的調査を行い、こちら編切り替えた場合への対応も徐々に整いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、タジキスタン・パミール高原での調査計画自体はかなり緻密なものが仕上がったと考えている。しかし、外務省の渡航危険度レベルが上がったために、大学の規定により渡航が不可能になり、この調査計画を実現する具体的手段を失った状況である。そこで、中央アジアの遺跡調査のバックアップ手段として、コーカサス諸国の調査も想定し、2023年9月にはアルメニアで予備的な訪問を行った。2024年4月段階では、どちらの調査も紙上計画としては実行可能な体制を整えつつ、情勢を注視しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
タジキスタン・パミール高原への渡航が制限される中で、条件の似た周辺諸国での研究を模索しているところである。具体的には、コーカサス諸国かイランを考えている。しかし、2024年4月現在で、イラン自体がイスラエルの空爆を受けている状況で、代替案で訪問できる国は、コーカサス諸国に絞られつつある。今後は、緊迫する中東情勢を睨みつつ、①危険度が下がって当初の予定通りにタジキスタンを調査できるパターン、②危険度が下がらないのでコーカサス諸国調査で代替するパターンの2つのプランを練って、二段構えでどちらかの推進を目指す方針である。
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Causes of Carryover |
当初計画していたタジキスタンでの調査が、国際情勢の変化、危険度の上昇により実行不可能になったため、調査を延期して国際情勢の沈静化を待っているところである。
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