2023 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of sustainable collaborative knowledge base of a minority language and culture of Thailand
Project/Area Number |
20KK0007
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中山 俊秀 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70334448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西井 凉子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20262214)
冨岡 裕 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (90816505)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 危機言語 / 言語再活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タイの黒タイ族の伝統言語と文化を対象にした国際共同研究であり、言語・文化の消滅を防ぐための包括的ナレッジベースの構築を目的としている。研究1年度目から3年度目までのCOVID-19による渡航制限等の影響を受け、研究活動は大幅に遅延を余儀なくされ、収集されたデータも大きく制限されてきた。最終年度には、コミュニティの積極的な協力のもと収集してきた言語及び文化の記録・情報を取りまとめを進めた。研究活動の焦点はこれらの言語文化記録をコミュニティーにおける継承言語文化再活性化の活動に活かすためのノウハウや手法の開発と社会実装に向けた。その結果、デジタルデータベースとしての実装を完了することは断念せざるを得なかったが、これは、コミュニティーとの協働とコミュニティーへの利益還元を重視するというこのプロジェクトの趣旨に沿った決断であった。 プロジェクトの研究成果は、国際学術学会における発表のほか、伝統言語保持に関する国際学会においてのコミュニティーメンバーとの共同発表発表などを通して発信した。また、他の消滅危機言語文化コミュニティとの国際共同ワークショップも開催し、ナレッジベースの構築や言語文化再活性化の取り組みについて共有し、相互に学び合う機会を作った。それにより、伝統的言語文化情報の収集とナレッジベース構築、それを活用したコミュニティーベースの言語文化再活性化活動のノウハウを他のコミュニティーに国際的に横展開することができた。 本プロジェクトでの特に重要な成果の一つとして、コミュニティメンバー自身が研究過程において主体的な役割を果たした点が挙げられる。彼らは調査からデータ収集、分析までを共同で行い、その結果、コミュニティに密着した生きた知識が収集された。この協働モデルは、伝統言語と文化の再活性化を目指す他のコミュニティにも参考となるものである。
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