2022 Fiscal Year Annual Research Report
International Joint Research to Discover Royal Tombs of Maya Civilization Using Muon Fluoroscopy
Project/Area Number |
20KK0008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 誠一 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 教授 (10261249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 邦博 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (30377915)
西尾 晃 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 研究機関研究員 (30880108) [Withdrawn]
北川 暢子 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 特任助教 (20727911)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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Keywords | マヤ文明 / 王墓 / ミューオン透視法 / コパンのマヤ遺跡 / 世界遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、宇宙線ミューオンの物質透過力を利用して、古代マヤ文明の石造建造物内部を透視し、神殿に刻まれた碑文の解読結果からその内部に存在すると想定される王墓空間を同定し、発掘によって世界に先駆けて「マヤ王墓」を発見しようとする国際共同研究である。研究分担者のチームは、この方法でエジプトのクフ王のピラミッド内部に未知の巨大空間を発見しているので、その方法がマヤ文明を代表するコパン遺跡の重層的な建造物に適用可能かどうかを確認し、マヤ考古学における伝統的なトレンチ発掘やトンネル発掘に頼らない非破壊的考古学調査法を開拓しようとする。本研究は、2019年に現地で設置し回収していた原子核乾板があったために、コロナ禍においてもその解析を中心に研究を推進することができた。その一方で、(1)本研究は、2020年度後半に認可されたがすでにコロナ禍が始まっており、研究分担者チームの現地での追加調査が最後まで制限されたままであった点、(2)研究の途中で、研究代表者が全く別の研究テーマであったものの、基盤研究(S)に採択となったため、重複制限にかかり、研究期間の途中の2022年4月に突然打ち切りとなってしまい、実質的に1年半しか研究期間が取れなかった点が制限要因であった。 こういった制限にも関わらず、本研究は(1)エジプトとは全く異なる自然環境や建築石材、および重層的な構造をもつコパン遺跡においても、ミューオン透視法は有効であることを示した点、(2)11号神殿の中心軸に存在する深さ3メートルの石室シャフトの周辺には、考古学者が想定しているような「王墓」空間は見当たらないこと、(3)環境放射線を出す凝灰岩を石材にもつコパン遺跡では、その影響を抑えて検出精度を高めることが課題である点が明確にされたという3点において重要な知見を示し、今後のより詳細な研究の課題を明確にした点で大きな成果を挙げたといえる。
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Research Products
(1 results)