2020 Fiscal Year Research-status Report
Conservation and utilization of cultural heritage in East Asia using 3D date
Project/Area Number |
20KK0009
|
Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
今津 節生 奈良大学, 文学部, 教授 (50250379)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高妻 洋成 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 副所長 (80234699)
石崎 武志 東北芸術工科大学, 文化財保存修復研究センター, 教授 (80212877)
片岡 太郎 弘前大学, 人文社会科学部, 講師 (80610188)
宇都宮 正紀 奈良大学, その他部局等, アソシエイトフェロー (20854730)
|
Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
|
Keywords | 東アジアの文化財 / 3Dデータの活用 / 文化遺産の保護・保全努力の強化 / X線CTスキャナ |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルスの出現に伴う社会活動の変革によって、文化財に関する調査研究の方法も大きく変わろうとしている。本研究はX線CTスキャナを使って取得した文化財の3Dデータを3D解析ソフト使ってWEB上で共有しながら国際共同研究を実施することによって、異なる国や地域の研究者が3Dデータを解析して研究成果を共有することにある。 本研究は、東アジア各国の研究機関がX線CTを使って取得した文化財の3Dデータを共通の3D解析ソフト使ってWEB上で議論し、その解析結果を共有した上で、共同で実物調査を実施する。X線CTを使った文化財の調査研究は、欧米ではまだ本格化していないので、東アジア地域の文化財研究者は世界に向けて新しい研究成果を発信できる絶好の機会を得ている状況にある。 本研究は、東アジアから世界に向けて、文化財の新しい調査研究方法や保存修復技術を発信することを目的としている。今後、この研究方法はデジタル社会における文化財の新しい研究方法として、文化財の活用を促進する上でも必要不可欠な基礎技術となって世界に普及することが期待できる。 本研究は東アジア三国の研究者とオンラインのWEB会議を中心に研究を進めている。オンラインのWEB会議では、先ず研究体制の強化について確認した。具体的には、中国文物保護技術協会、韓国文化財保存科学会や韓国中央博物館、モンゴル国立文化遺産センター等に協力を求める。日本でも日本文化財科学会と協力して研究を進める事を確認した。オンラインのWEB会議を通して、日本・中国・韓国の3国の研究者が国際共同研究できる新しい研究基盤の形成を目指すことを確認した。また、オンラインのWEB会議を中心に研究を進めながら、2022年8月には日本で国際シンポジウムを実施することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウィルスの感染がまだ沈静化していない状況であったので、対面を主体とする現地での研究は実施せず、東アジア三国の研究者とオンラインのWEB会議を中心に研究を進めた。日本・中国・韓国とのオンラインのWEB会議の結果、来年度にはコロナ禍の状況が好転すると思われるので、2022年8月に海外の研究者を招聘してシンポジウムを開催できるように準備することを確認した。具体的には本研究の研究代表者や研究分担者が所属する日本文化財科学会と東アジア文化遺産保存学会が基軸となり各国の関連学会と協力しながら研究を進めることした。 オンラインのWEB会議では、東アジア文化遺産学会副会長(中国担当)の杜暁帆氏から中国文物保護技術協会に協力を求める事が提案された。また、韓国からは東アジア文化遺産学会副会長(韓国担当)の金奎虎氏を通じて韓国文化財保存科学会や韓国中央博物館、韓国国立海洋文化財研究所に協力を求める事が提案された。日本では研究代表者の今津と分担者の高妻が日本文化財科学会とも協力して研究を進めることが提案された。オンラインのWEB会議を通して、日本・中国・韓国の3国の研究者が東アジアの文化財の保存と活用について国際共同研究できる新しい研究基盤の形成を目指することを確認した。 研究の具体例として、日本側からデータ反転や3Dプリンタを用いた仏像の修理痕跡の解析方法や、奈良県桜井市纏向遺跡から発見された犬の骨のCT調査と3Dプリンタを活用した骨の複製品、骨格復元に至る研究について報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は急激に変貌する東アジアの中で、文化財を守り・伝え・活用するために各国の文化財科学・保存修復に携わる研究者が文化財の3Dデータ解析についてWEB会議を中心に研究を実施し、問題点を明確にした上で文化財の所在する現地に集合し、共同で問題解決にあたる研究方法をとる。本研究は国際学会を基盤(ワーキンググループ)として活動しながら研究成果を国際シンポジウム等で発表する。 本研究では、日本・中国・韓国を中心とした東アジア地域の文化財科学研究に携わる研究者が具体的な研究課題を設定し、国際的に共同して文化財科学的研究に繋げることを目指している。ヨーロッパの歴史や文化的背景とは異なり、東アジア地域は歴史・文化・気象に加えて文化財の材質やその製作技法など共通する点がきわめて多いからこそ東アジア地域の研究者が連携して国際共同研究に当たる必要がある。本研究では現地調査とオンラインのWEB会議を併用することで、東アジアの文化財の保存と活用について国際共同研究できる新しい研究基盤の形成を目指す。 2021年度は引き続きオンラインのWEB会議を通して、日本・中国・韓国の3国の研究者が文化財の3Dデータ解析技術を活用して国際共同研究できる新しい研究基盤の形成を目指す。また、次年度に開催する国際シンポジウムの準備を行う。2022年8月に実施する国際シンポジウムでは通常の会議に加えてオンラインのWEB会議を併用する。2023年以降も通常の現地調査と会議に加えてオンラインのWEB会議を併用することで安全で効率的な新しい研究基盤の構築を目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染がまだ沈静化していない状況であったので、2020年度は対面を主体とする現地での研究は実施せず、オンラインのWEB会議を中心に研究を進めたために次年度使用額が生じた。2021年度も新型コロナウィルスの感染が沈静化していない状況を踏まえてオンラインのWEB会議を中心に状況を見ながら研究を進める。また、2022年度には現地調査と国際シンポジウムを計画している。
|