2020 Fiscal Year Research-status Report
Reconsidering State Capacity through Responses to COVID-19: Comparative Research on Latin American Countries
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20KK0024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 勇 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (00650649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 隆廣 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80580745)
菊池 啓一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 海外研究員 (80735374)
舛方 周一郎 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (40734538)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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Keywords | COVID-19 / ラテンアメリカ / 国家能力 / 社会福祉 / 行政サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究課題が開始した初年度であったため、2021年2月10日に共同研究者とミーティングを行い、全体の計画や方針について打ち合わせを行った。新型コロナウイルス感染症対策、およびラテンアメリカの社会政策や政治的包摂に関する既存研究の検討を始めた。2020年中より、国家建設や国家の能力についての理論研究は概ね収集・検討を終えているが、2月10日のミーティングでは公共政策一般についての研究や、過去の自然災害に対する政策対応や政治変化についての研究も検討してはどうかとの意見が出され、さらに文献収集を進めることとした。 他方で、本研究課題について、3つの作業を行った。第1に、2020年11月14日と15日に開催されたラテン・アメリカ政経学会にてコロナ関連のパネルを複数企画し、ペルー、ボリビア、ブラジル、メキシコから報告者を招いて各国の状況や課題についてディスカッションを行った。当初の予定時間を超過して盛んに議論が行われた。 第2に、日本のコロナ対策についてラテンアメリカ諸国の比較を行うために内容をまとめ、2020年12月12日にペルー・国立カハマルカ大学のウェビナーにて、2021年1月22日にペルー・国立サンマルコス大学のウェビナーにて講演日本のコロナ対策について講演を行った。これらの中では、ペルー現地でのワクチンに対する懐疑や世界でも随一と言われる厳しさと期間の長さを持ったコロナ対策がどのように受け止められているかについて現地からの声を聞くこともできた。 第3に、世界でも脚光を浴びるほど多くの感染者・死者を出してきたブラジルや、厳しいロックダウンを経験してきたアルゼンチン、そうした隣国があるにもかかわらず初期の段階で強制的なロックダウンを取ることをせず、感染者数を低く保ったウルグアイについて関心が高まっており、これらを始めラテンアメリカ各国の動向について継続してモニターを続ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究課題が開始した初年度であり、現地渡航はまだ予定しておらず、文献収集と全体計画の打ち合わせを予定していた。2021年2月10日のミーティングではそうした要検討点について打ち合わせを行うことができた。 他方で、3つの作業を行った。第1に、2020年11月14日と15日に開催されたラテン・アメリカ政経学会にてコロナ関連のパネルを複数企画し、ペルー、ボリビア、ブラジル、メキシコから報告者を招いて各国の状況や課題についてディスカッションを行った。当初の予定時間を超過して盛んに議論が行われた。 第2に、日本のコロナ対策についてラテンアメリカ諸国の比較を行うために内容をまとめ、2020年12月12日にペルー・国立カハマルカ大学のウェビナーにて、2021年1月22日にペルー・国立サンマルコス大学のウェビナーにて講演日本のコロナ対策について講演を行った。これらの中では、ペルー現地でのワクチンに対する懐疑や世界でも随一と言われる厳しさと期間の長さを持ったコロナ対策がどのように受け止められているかについて現地からの声を聞くこともできた。 第3に、世界でも脚光を浴びるほど多くの感染者・死者を出してきたブラジルや、厳しいロックダウンを経験してきたアルゼンチン、そうした隣国があるにもかかわらず初期の段階で強制的なロックダウンを取ることをせず、感染者数を低く保ったウルグアイについて関心が高まっており、これらを始めラテンアメリカ各国の動向について継続してモニターを続ける。 また、本研究課題に関連する業績として、2021年12月にボリビアの地方政府の行政サービス改善について論文を公刊した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、国際的な移動がさらに困難な状況から始まり、現地渡航および帰国した際のスムーズな本務復帰は望みにくい状況が続いている。ワクチンの接種も本年中に完了するかどうかが険しい状況であり、日本でそうした状況であることからラテンアメリカ各国でコロナ対策が一段落して現地渡航が可能になるのはしばらく先のことと予想される。 こうしたことから、2021年度については昨年度と同様にリモートでの現地モニターと文献収集を続け、切り口となる問いや理論枠組みについての議論と検討を進める。時間をかけてコツコツと文献の精査を進めながら、研究者との定期的なディスカッションを行っていく。また、既にコロナの感染状況とそれに対する各国政府の対応については、様々な研究が急ピッチで発表されている。そうした研究は、資金を投入して世論調査を行うものもあるし、中には超過死亡者数や報告死亡者数と他の指標を組み合わせるなどの方法によって統計的傾向を探るものもある。こうした研究動向についてもモニターを行うとともに、レビュー論文の執筆や入手可能なオープンリソースを用いた探索的研究を開始したい。こうした文献レビューや探索的研究を進めることによって、2023年度に予定している本調査について必要な分析枠組みや対抗仮説についても明確にすることができると考える。また、国内外で開催されているオンラインの学会に参加し、取り組まれているCOVID-19関連研究についてもモニターを続けていきたい。 さらに、現地の共同研究者との調整を進め、ウェビナー形式での研究会を開催したいと考えている。
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Causes of Carryover |
予定通り、本年度は全体計画の打ち合わせと文献収集などを開始した。全体計画の打ち合わせについては、その他業務との兼ね合いで2021年2月10日に開催することができたが、それを踏まえて文献収集を開始するタイミングが遅くなった。他方で、主な文献はCOVID-19関連に集中するが、それらは多くがまだ未公刊の状況で、ほとんどが暫定的にオープンアクセスになっているため、資料入手にあたって有償負担が必要となるのはこれからになると予測される。今後、全体計画に沿ってさらに打ち合わせを進め、文献収集を進めるとともに現地渡航計画を立て、予算執行を粛々と進めて行く。
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Research Products
(4 results)