2023 Fiscal Year Research-status Report
Reconsidering State Capacity through Responses to COVID-19: Comparative Research on Latin American Countries
Project/Area Number |
20KK0024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 勇 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (00650649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 隆廣 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80580745)
菊池 啓一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターラテンアメリカ研究グループ, 研究員 (80735374)
舛方 周一郎 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (40734538)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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Keywords | COVID-19 / 国家能力 / ラテンアメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2回の国際共同研究集会を企画し、無事に開催することができた。2023年7月にはブエノスアイレスで開催された世界政治学会(IPSA)の世界大会では、パネル企画を行い、本研究課題関係者を含めて7本のペーパーについて議論を行うことができた。これには主にアルゼンチン、ブラジルからの参加者があった。さらに2024年3月にはメキシコシティで国際ワークショップを開催し、本研究課題関係者を含めて9本のペーパーについて議論を行った。これにはメキシコとアルゼンチンからの参加があった。これらの国際共同研究集会では、一部の登壇者や討論者の旅費や大会参加費を工面する必要があったことから、本科研費による支給が極めて重要な役割を果たした。アルゼンチン、ブラジル、メキシコにおける優れた研究者と新たなネットワークを構築する機会にもなったし、8-9本の優秀なペーパーを揃えることができ、国際編著図書の出版に向けての準備を開催することができた。これらは、急速に変わりつつあるポストコロナの研究動向の中で、ラテンアメリカ地域における課題と分析に大きな関心が残されていることをうまく捉えることができた点で、期待以上の成果を上げていると言うことができる。 2度の国際共同研究集会を踏まえて、研究代表者と研究分担者はそれぞれ、大規模日次サーベイデータを利用したCOVID-19対策としての検査実施能力と政府によるマスク着用勧奨の行動変容実現効果、ラテンアメリカ各国のCOVID-19初期対応の類似性についてのテキスト分析、ブラジルにおける医療制度の発達の歴史分析といった比較の視座からのペーパーを書き上げている。これらはいずれも英語ペーパーであり、今後、国際編著図書としての出版が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、2回の国際共同研究集会を企画し、無事に開催することができた。2023年7月にはブエノスアイレスで開催された世界政治学会(IPSA)の世界大会では、パネル企画を行い、本研究課題関係者を含めて7本のペーパーについて議論を行うことができた。これには主にアルゼンチン、ブラジルからの参加者があった。さらに2024年3月にはメキシコシティで国際ワークショップを開催し、本研究課題関係者を含めて9本のペーパーについて議論を行った。これにはメキシコとアルゼンチンからの参加があった。これらの国際共同研究集会では、一部の登壇者や討論者の旅費や大会参加費を工面する必要があったことから、本科研費による支給が極めて重要な役割を果たした。アルゼンチン、ブラジル、メキシコにおける優れた研究者と新たなネットワークを構築する機会にもなったし、8-9本の優秀なペーパーを揃えることができ、国際編著図書の出版に向けての準備を開催することができた。これらは、急速に変わりつつあるポストコロナの研究動向の中で、ラテンアメリカ地域における課題と分析に大きな関心が残されていることをうまく捉えることができた点で、期待以上の成果を上げていると言うことができる。 他方で、昨今のグローバル社会は急速にポストコロナの局面に入りつつあることから、サーベイを用いた独自データの収集のタイミングを得ることが難しくなりつつある。研究チームの中で各自のペーパーを作る方向に進んだことは望ましかったし、コロナ禍の国際的往来の難しさが解消された段階で直ちに国際共同研究の機会を得たことは十分な成果であったと言えるが、当初の計画であったサーベイ実施に代わる研究計画を改めて練り直している段階でもある。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに2度の国際共同研究集会を経て、ラテンアメリカ地域におけるCOVID-19に関する社会科学研究の動向は十分に把握しているし、優れたペーパーも集まってきている状況である。そのため、できる限り間を置かずに英文出版社とコンタクトをとり、国際編著の出版に向けて動くことが望ましいと考えている。2024年3月に開催した国際ワークショップでは報告者とこの方針についての合意を得ており、2023年7月のIPSAパネルに参加した登壇者の一部とも合意ができている。実際、2024年に入ってすぐに複数の英文出版社とのコンタクトを開始しており、出版プロジェクトとして結実する現実性は極めて高いと考えられる。 2024年度はこの方針を維持しつつ、国内外のさまざまな機会を捉えて各ペーパーをブラッシュアップすることが期待される。実際に、2つのペーパーが質的比較分析(QCA)を用いることから、この分析方法に明るい研究者と研究集会を開催することを企画し始めている。 他方で、サーベイによる独自データの収集という当初の目的は維持されており、状況は変わりつつあるものの、独自の研究貢献をもたらす可能性は残されていると考えている。そのため、研究動向を注視しつつ、ラテンアメリカでのサーベイ実施に向けての計画立案と実施について野心的に取り組んでいきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
サーベイを実施する予定であったため、そのための予算を確保してきたが、2023年度から急速な円安が見られた中で、米ドル建てのサーベイ実施費用と海外渡航による国際研究集会の開催費用の高騰があり、研究プロジェクト全体としての資金繰りを修正しながら進めている。他方で、当初の計画以上の進展があり、国際共著の出版計画が2024年度に大きく進展する可能性があり、場合によってはオープンアクセスの査読付国際共著とすることも視野に入れつつ、予算計画の微修正について検討を始めている。当初の計画通りにサーベイを実施する可能性も依然として残されているが、各国の状況を注視しながら適切なタイミングを見計らう必要がある。以上の理由により、2023年度に予算を使い切ることは現実的ではなく、2024年度への繰り越しが生じることとなった。 2024年度には、(1)サーベイ実施、(2)国際共著の出版とオープンアクセス化、(3)実地調査や国際共同研究のための渡航費用について未使用額を使って積極的に研究計画を調整しつつ進めていきたいと考えている。
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