2023 Fiscal Year Annual Research Report
Program evaluation of labor and family policies in the aging society
Project/Area Number |
20KK0032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 大司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80346139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 恵介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40622345)
深井 太洋 筑波大学, 人文社会系, 助教 (50828803)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | Employment / Immigration / Technology / Family Formation / Program Evaluation |
Outline of Annual Research Achievements |
先進各国では人口の高齢化が進行しつつあり、いわゆる生産年齢層と呼ばれる20~64歳の人口が総人口に占める比率が低下しつつある。少なくとも生産年齢層の労働者を数と質の両面でいかに維持し、その生産性を向上させるかが社会的な課題になっている。 この研究計画では、人口減少下での労働市場の変化を、ドイツと日本のマイクロデータを用いて分析した。 本研究の主な成果は育児休業の取得が母親の就業に与える長期的な効果を明らかにしたことである。特に、育児休業を取得した母親と取得しなかった母親を比較すると、出産から10年後にフルタイム就業をしている確率が20~30ポイント増加し、パートタイム就業をしている確率が同じだけ減少することが分かった。 また、賃金格差の変化に関する日独の研究を行った。 伝統的に日本の賃金格差の研究には賃金構造基本統計調査が用いられることが多かった。しかし、賃金構造基本統計調査では5人未満の民営事業所や役員報酬など、賃金分布の低分位帯や高分位帯に位置しやすい労働者が十分にカバーされていない。そこで、より調査対象の広い民間給与実態統計調査と比較することで、賃金構造基本統計調査から得られる賃金格差の指標の特徴を明らかにした。 ドイツでは1990年以降賃金格差が拡大し、世界金融危機後は賃金格差が若干縮小している。一方、25歳から34歳までの10年間の合計所得で近似した生涯所得の格差は1985年から2000年にかけて急上昇しているが、それ以降は縮小している。本研究では、労働者の賃金の決定要因を労働者の観察可能な属性要因、労働者のスキル(固定効果)、労働者のスキルの価格、持続的なショック、一時的なショックを用いてモデル化した。
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