2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the impacts of Rohingya refugee influx on host communities' livelihood and environment: An interdisciplinary investigation
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20KK0035
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
樋口 裕城 上智大学, 経済学部, 准教授 (60757269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 健太 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30633474)
高橋 遼 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (40748349)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Keywords | 開発経済学 / バングラデシュ / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年8月からのミャンマー政府による掃討作戦を契機として、ロヒンギャとよばれるイスラム教徒の少数民族が、隣国バングラデシュに難民として大量流入した。同国でもとりわけ貧しい地域への難民流入により、地域の社会経済と環境は大きな影響を受けた。しかしながら、難民と比較すると受入国住民に対しては、国際的な支援ならびに関心ともに低い現状である。本研究では、日本人経済学者とバングラデシュ人環境科学者が共同することで、難民流入による影響を包括的に定量評価する。具体的には、家計調査によりパネルデータを構築し、家計の社会経済面への影響を分析する。また、家計調査に実験室実験を組み込むことで、住民感情への影響の定量化を試みる。さらに、リモートセンシング・GISデータを組み合わせて、地域の環境面への影響を測定する。本研究から得られる知見 は、難民流入により影響を受けた受入国住民への補償や、難民との融和のための政策立案に資することが期待される。2023年度は、2020-2021年度にかけて受入国住民1800家計(15家計×120村)を対象として実施した家計調査とラボ実験のデータの分析に基づいて執筆した論文を、国内外の学会で報告するとともに、学術雑誌への投稿を行った。結果として、From Hospitality to Hostility: Impact of the Rohingya Refugee Influx on the Sentiments of Host Communitiesというタイトルの論文が、開発経済学の有力な雑誌であるEconomic Development and Cultural Change誌に採択された。また、関連する研究の準備(文献の調査、質問票の設計、プリアナリシスプランの執筆など)とパイロット調査を行い、次年度の本調査に向けた準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究費に基づく論文がEconomic Development and Cultural Change誌に採択されたのは大きな成果だと言える。開発経済学や公共経済学のフィールドトップジャーナルにはリジェクトされたのは残念であるが、十分な成果が得られた。また、2024年度に実施するランダム化比較試験(RCT)の準備も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はRCTを実施し、2500名の個人からのデータを収集予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定では2023年度内に予定した研究を、2024年度に実施することとなった。2024年1月に実施されたバングラデシュの大統領選挙の前後で、政治・社会的な混乱があったこともその背景としてある。
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