2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of merging spherical tokamak formation scenario and its connection to steady/burning regime using ultra-high field reconnection heating
Project/Area Number |
20KK0062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 博士 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30726013)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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Keywords | 核融合 / 球状トカマク / 磁気リコネクション / プラズマ診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年度目にあたる2022年度は、英国トカマクエナジーST40実験への現地派遣開始予定であったが、コロナ禍の派遣自粛要請状況が通年で解決されない状況のため、現地派遣自粛状況下で推進可能なリモート実験およびNBI等の追加熱系統の整備、国内では合体法による急速加熱と準定常運転への連結シナリオの東京大学TS-6実験装置での確立をそれぞれ推進し、本研究予算自体は基金予算の柔軟性を活かしてコロナ禍の状況が沈静化するまで執行自粛の方式をとった。 リモート実験については、アクセス環境の改善として、東大内特定IPアドレスからの速度制限つきのリモート接続方式から、現地研究者同様の現地LAN内へのVPN環境整備が進み、高速度カメラ等の重量データアクセスの他、計測器制御PCへのリモートデスクトップ接続等が自由に可能となり、出張制限下でもリモート実験可能な環境改善が行われた。 東京大学TS-6実験、トカマクエナジーST40実験ともに、合体運転とセンターソレノイドによる誘導電流駆動によるプラズマ電流急速立ち上げと準定常実験についてはMAST実験同様に順当にハイブリッド運転を確立し、双方ともに0次元計測では合体加熱で得た温度の準定常シナリオへの連結を確認した。東京大学では磁気面の二次元直接計測と合わせたドップラートモグラフィ計測で、合体完了後の一見定常に見える状態の中で磁気面状ではより複雑な熱輸送現象が発生し、トロイダル磁場の極性に依存する形でポロイダル方向に温度分布が大域的に回転する新現象が実験的に発見された。ST40実験ではNBI3系統を用いた実験が本格的に開始し、そのうち特に順調に稼働した2系統の加熱中性粒子ビームによる追加熱運転との連携で、合体で1.5keV程度を生成した後に、NBIの追加熱で9keVを超える領域へのランプアップに成功し、球状トカマク実験史上初の1億度達成の快挙が達成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、「予算執行計画」の面では現地派遣自粛の影響による遅延が見られるものの、「研究成果」の面では各々の大局的に期待される研究成果はあげられていることから、「やや遅れている」と評価する。本研究当初目的である合体生成プラズマの準定常運転への連結確認、合体加熱が生成した加熱スポットを起源とした大域的構造形成現象の新発見、NBIランプアップによる点火領域到達等、科学・工学成果としての当初目標は達せられおり、本研究計画の大局的な目的については当初目的よりも早く進行している状態である。現地長期派遣を伴うドップラートモグラフィ計測実施のための実予算投入はコロナ禍の影響があらわれ、予算の計画的執行の視点では大幅な遅れがみられるものの、本研究計画で想定していた成果が当初の予定より早く得られ、AAPPS国際会議におけるU40若手研究者賞受賞などの評価も得られ始めている。予算執行はコロナ禍の影響による遅れがみられる一方、当初の予定よりも早く研究実績は得られはじめている状況を総合的に考慮し、「やや遅れている」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初の想定では、2022年度は最終年度にあたり研究成果とりまとめ年度として想定していたが、リモート実験中心で執行が遅れた現地派遣を伴う実務予算執行の本格的再開年度にも相当するため、年度内完結には固執せず必要に応じて1年延長も視野に、ST40共同実験成果の動向を見ながら随時柔軟に研究予算を執行する。 2022年4~6月はST40装置側は真空ブレイクを伴う装置アップグレード工事を推進中であり、本年度からトムソン散乱計測も新たに使用可能となることが予定されている。荷電交換分光計測専用ビーム入射装置DNBIは当初の性能を出せない状況にあることが判明し、一方別系統の加熱用中性粒子ビームHNBIが荷電交換分光計測用ビームとしての性能に優れる状況が2021年度実験で明らかとなったため、同計測専用ビームDNBIに割り当てられたポートはECRHによる加熱系統と入れ替えるポート再編が並行して進められている。これに伴い東京大学使用予定の測定ポートもまた当初予定のポートから移動し、トムソン散乱計測の集光窓を共用する形に変更となったため、集光光学系用の光ファイババンドル終端設計を変更する再加工実施の上、新しいドップラートモグラフィ計測として実験に投入する。 計測系の再整備完了の後、ST40の合体生成球状トカマクのリコネクション加熱の詳細な理解を進め、それを反映した合体加熱・定常運転連結性能の最適化を実施。NBI投入後は2021年度の空間数点計測から空間分布測定仕様にアップグレードされた荷電交換分光計測による、合体生成後の追加熱過程も含めた詳細なイメージング計測を実施し、合体生成球状トカマク方式のシナリオ全体の加熱・閉じ込め・熱輸送過程の理解を進めるとともに、得られた知見のプラズマシナリオ改善への還元を実施する。得られた成果は国内外の学会で順次公表を開始、研究全体のとりまとめへ徐々に移行する。
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Causes of Carryover |
英国トカマクエナジーとの国際共同研究推進計画である本研究計画では、英国長期派遣に伴う出張旅費およびドップラートモグラフィ計測系の現地建設予算を計上していたが、2020年度に引き続き2021年度もコロナ禍による出張自粛が通年にわたったことから、基金種目である本予算科目の年度繰り越しの柔軟性を活かし、時期尚早の年次内予算消化に固執せず、本格的な派遣再開の見通しが立つまで予算投入を抑える方針をとった。 2022年度は、トカマクエナジーST40実験が真空ブレイク期間にあたる年次初頭にまず短期の派遣から開始して年度内派遣計画その他調達計画の調整を行い(トムソン散乱計測とシェアして利用予定の真空窓周辺の集光系固定スペースの再確認)、その後必要機材の調達(石英製光ファイバーバンドル・集光レンズ・固定治具、他)・現地持ち込み・長期派遣を伴う共同実験を推進する。年次後半より開始される国内外の学会を利用して研究成果の公表を順次開始する。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Overview of Merging Spherical Tokamak Experiments and Simulations for Burning, High-Beta and/or Absolute Minimum-B Plasma Formation2021
Author(s)
Y. Ono, M. Inomoto, H. Tanabe, H. Yamaguchi, M. Akimitsu, M. Gryaznevich, S. McNamara, P. Buxton, J. Kompulla, J.Wood, V. Nemytov, K. McClements, C.Z. Cheng, S. Usami and R. Horiuchi
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Journal Title
Fusion Energy 2020
Volume: IAC/P4-3
Pages: 1-8
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] High field application of merging/reconnection plasma startup in the ST40 and TS-6 spherical tokamaks2021
Author(s)
H. Tanabe, M. Gryaznevich, S. Mcnamara, J. Wood, H. Tanaka, M. Akimitsu, Y. Cai, D. Osin, P. Buxton, A. Rengle, O. Asunta, C. Z. Cheng, M. Inomoto and Y. Ono
Organizer
5th Asia-Pacific Conference on Plasma Physics (AAPPS-DPP2021)
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Overview of Merging Spherical Tokamak Experiments and Simulations for Burning, High-Beta and/or Absolute Minimum-B Plasma Formation2021
Author(s)
Y. Ono, M. Inomoto, H. Tanabe, H. Yamaguchi, M. Akimitsu, M. Gryaznevich, S. McNamara, P. Buxton, J. Kompulla, J.Wood, V. Nemytov, K. McClements, C.Z. Cheng, S. Usami and R. Horiuchi
Organizer
28th IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2020)
Int'l Joint Research
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