2022 Fiscal Year Research-status Report
Research of transient objects and dark matter with large-sized Cherenkov telescopes
Project/Area Number |
20KK0067
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野田 浩司 千葉大学, ハドロン宇宙国際研究センター, 准教授 (00816837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 隆之 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (60713419)
高橋 光成 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任助教 (60838960)
中森 健之 山形大学, 理学部, 教授 (30531876)
稲田 知大 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (70884568) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Keywords | ガンマ線天文学 / チェレンコフ望遠鏡 / ガンマ線バースト / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には海外渡航や外国人の日本渡航の制限が大きく緩和され、本研究に必要な出張が複数行われた。2022年4月には早速、代表者野田が観測地スペイン・ラパルマ島に渡航して、滞っていたCTA大口径望遠鏡(LST)1号基の保守を共同研究者とともに行った。しかし予定されていた反射鏡の交換は重機の故障により行えず、これは同年10月に持ち越された。代表者はその時も渡航して業者とともに約60枚(200枚中)の鏡の交換を無事終えた。 7月-10月には分担者齋藤・高橋がスペインに渡航し2号基以降のLSTカメラの準備を行った。また代表者も8月にラパルマに渡航し、2号基以降に用いる反射鏡の追加補修を業者とともに行った。これらにより、2023年以降に計画されている残り3基の建設に向けた準備が整った。10月にはLST会議のために代表・分担者が複数スペイン・バルセロナに立ち寄り、共同研究者らと今後の建設計画などについて議論を行った。 また4月にはガンマ線バースト研究に携わる京都大学の大学院生を2週間ほど東大宇宙線研に招聘し、当時滞在していたフランスの研究者・大学院生とLSTでのガンマ線バースト観測に関する共同研究を行った。同内容は大学院生が9月に国内学会で発表した。また本年度はGRB201015Aの研究を集中的に行い、その成果をMAGIC共同研究者内の研究会で2023年2月に発表、同年4月までに解析結果も内部承認されたため、論文出版に向けはっきり目処がついた。 2022年夏にはスペインから学生が中期滞在し、アラート対応天体の観測について共同研究を行った。 暗黒物質については、本研究で過去に行われた対消滅への制限の成果がMAGIC共同研究者からPRL誌で発表された(2023年2月)。同内容は世界的にも注目されており、2023年1月には昨年度まで本研究費の分担者だった稲田が国際会議に参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡航制限の緩和により、本来あるべき姿で研究活動が行えるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずMAGIC望遠鏡によるガンマ線バーストなど突発天体の物理について、代表者の野田はMAGICの突発天体物理WGのコンビーナ(本年度で任期満了予定)として、観測結果の論文化に集中する。201216Cはすでに内部査読をほぼ終え、2023年夏までの出版を目指している。一方201015Aについては、昨年度までに論旨の目処がついたため、本年度中の出版を目指す。一方、ニュートリノアラート対応天体の追観測について、昨年度までに改善点の洗い出しを終えた。代表者の野田がIceCube実験に2023年1月から参加を始めたため、主としてCTA大口径望遠鏡(LST)での成果を目指して両共同実験内部での調整を進める。 LSTの残り3基の建設については、2022年にようやく建設許可が降り、2023年4月現在は土台や周辺道路の敷設が進んでいる。2023年度には望遠鏡電源系の移設と下部構造体の建設が進む。本研究では2024年以降の光学系設置の準備(アクチュエータ)を担当する共同研究者のサポートのための渡航、3-4台目カメラのさらなる準備のための渡航が考えられる。 LST1号基のデータ解析だが、ガンマ線バースト天体については、京大の大学院生の東京大学や千葉大学、また新たに共同研究者(モデル担当)となった青山学院大学への中期滞在が考えられる。暗黒物質のデータ解析は研究分担者や大学院生に引き継いで継続する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により海外渡航できなかったことで、前年度未使用額が多額であった。本年度請求をあわせた額(600万円あまり)を単年度で使うことになったが、執行計画を注意深く行ったため540万円近くを問題なく執行できた。1割ほどの余剰は全く問題ない範囲であり、次年度に請求額と合わせた400万円あまりを執行することも本年度の経験からして、全く問題ない。
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Research Products
(9 results)