2022 Fiscal Year Research-status Report
Quest for origin of matter dominant universe by precise measurement of neutron electric dipole moment
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20KK0069
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
川崎 真介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (20712235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今城 想平 大阪大学, 核物理研究センター, 特任研究員 (10796486)
三島 賢二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別准教授 (20392136)
市川 豪 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究員 (60749985)
樋口 嵩 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (90843772)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Keywords | 超冷中性子 / 中性子基礎物理 / 時間反転対称性 / 超流動ヘリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子電気双極子モーメント(EDM)探索は電磁場中に置かれた中性子のスピン歳差運動周期を精密に測定することで行われる。この測定には運動エネルギーが300 neV未満の超冷中性子が用いられる。探索感度向上のためには超冷中性子を大量に発生させること、磁場を均一にコントロールすることが必要である。 超冷中性子の生成は超流動ヘリウムを用いたスーパーサーマル法で行われるが、効率的な生成には超流動ヘリウム温度を1.0 K程度に保つ必要がある。2021年度にヘリウム3冷凍機は超冷中性子源の建設されているTRIUMFに移送された。2022年度も引き続きCOVID-19の流行により海外での活動が制限された中であったが、現地の研究者の協力のもと、インストール手順のテストなどを行うことができた。TRIUMFで用意される予定であった、ビームライン組み込みのための断熱真空槽の製作が国際的なロジスティクスの乱れの影響を受けたため遅れ、現地での冷却試験を行うことが出来なかったが、その代わりに超流動ヘリウムの温度伝達関数の測定装置の詳細設計を行った。液体ヘリウム供給ラインや大型真空ポンプの設置など超冷中性子源運転のための準備が進んでいる。日本では超流動ヘリウムを冷却するための熱交換機の製作を進めている。 中性子EDM測定に必要な磁気シールドルームの建設が現地で始まった。この磁気シールドルーム外部に設置する磁場補償コイル設置のためのフレームの設計を現地のエンジニアと共に決定した。EDM測定時に超冷中性子を貯蔵するためのEDM容器がTRIUMFで制作され、J-PARC MLF BL05に設置されているパルス超冷中性子源を用いて性能評価が行われた。 2023年1月に3年ぶりとなる対面でのコラボレーションミーティングをTRIUMFで行った。現在の開発状況を確認し、今後の開発方針を協議することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度の後半に向けて改善があったものの、前年度に引き続き2022年度もCOVID-19の流行による出張に制限があった中での研究活動であった。超冷中性子源の置かれるTRIUMF研究所のスタッフとのオンラインミーティングやメールによるやり取りによって作業を進めている。 TRIUMFに移送されたヘリウム3冷凍機はインストールに向けた準備作業が行われている。現地で製作している断熱真空槽の工期が遅れているが、ヘリウム3冷凍機のビームラインへの移動方法の確認など、現在できることを進めた。徐々に出張の制限が解かれたため、現地に赴いての打ち合わせやコラボレーションミーティングによって新たに超冷中性子源のコミッショニングプランを立て直すなど、計画の遅れを取り戻す努力を行っている。 中性子EDM測定に用いる一様安定磁場開発では、外場の影響を抑えるための磁気シールドルームの建設が始まった。国際的ロジスティクスの乱れなどにより建設が遅れているが、性能評価のためのテストセットアップの開発や、小型のテストシールドを用いた消磁システムの開発を先行して進めた。 当初の予定通りの計画からの遅れは否めないものの、遅れを最小限に留めるべく現地研究者との密にコミュニケーションを取って研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
渡航の制限がなくなったこともあり、研究を加速させる。現地で準備される断熱真空槽の設置が終わり次第、ヘリウム3冷凍機のインストール、冷却試験、超流動ヘリウムの温度伝達関数測定などを行う。2023年度中に既定の熱負荷の下での超流動ヘリウム温度を計測し、超冷中性子源の性能を見積もる。TRIUMFで製作されている液体重水素モデレーターと組み合わせて、2024年度に超冷中性子源を稼働させる。 2023年10月に磁気シールドルームは完成予定である。磁気シールドルーム単体の性能は2023年度中に精査する。外場を生じさせるコイルを設置し、磁気シールドルームの磁気遮蔽率の評価を行う。磁気シールドルームの評価ののちに内部に静磁場発生用のコイル、磁場勾配補償用のシムコイルを設置し、一様磁場環境の開発を行う。 共同研究によって開発される超冷中性子保持容器、高電場電極、超冷中性子用スピン解析器、中性子検出器などを組み合わせて、中性子EDM測定を開始する体制を整える。申請段階では2024年度には年間を通じての物理ランを行う予定であったが、2024年度までに中性子EDM測定のコミッショニングを行い、物理ランへの道筋をつけることを目標に置く。
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Causes of Carryover |
TRIUMFで用意される予定であった、ビームライン組み込みのための断熱真空槽の製作が国際的なロジスティクスの乱れの影響を受けたため遅れ、現地での冷却試験を行うことが出来なかった。2023年初夏には断熱真空槽は完成予定であり、完成後に計画されていた冷却試験を行う。
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Research Products
(16 results)