2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel X-ray detector to understand cosmic reionization by surveying distant AGNs
Project/Area Number |
20KK0071
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
中嶋 大 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (70570670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 博文 大阪大学, 理学研究科, 助教 (50725900)
信川 久実子 近畿大学, 理工学部, 講師 (60815687)
松本 浩典 大阪大学, 理学研究科, 教授 (90311365)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | X線天文学 / AGN / DepFET |
Outline of Annual Research Achievements |
日独の共同研究により、将来の大有効面積X線望遠鏡の焦点面検出器として、高速低雑音X線撮像分光検出器を開発することが本研究の最終目的である。そのために、独マックスプランク地球外物理学研究所(MPE)の研究者が中心となりアクティブピクセルセンサDepFETを用いたフロントエンド部分を開発し、並行して我々がDepFET用電源回路および駆動回路を開発する。これにより実現する検出器の時間分解能は現在世界最速のCCDカメラと比べておよそ2桁優れ、かつ電子数換算5個未満の低雑音により、高い分光性能を持つ。DepFETは512ピクセル四方のアクティブピクセルセンサであり、4素子を2x2の形に並べて、一つの焦点面をカバーする。1個のセンサを、8つの専用ICで駆動および高速信号読出しする。2020年度は、MPE側ではDepFETの試作品に対するX線応答実験を進めた。一方日本側では、検出器の中でもセンサのアナログ信号を処理する専用ICに対して電力を供給する回路を設計・開発した。商用電源からの入力電圧を受け、レギュレータを用いて正負両側の安定電圧を生成するのが主要な機能である。また、生成した電圧を12-bit ADC を用いて高精度でモニタする機能も持たせた。さらにこの安定電圧は、可変抵抗を用いて調整可能とした。全ての出力電圧は外部からのコマンドでオンオフ可能である。このコマンド通信はマイクロコンピュータで実現する設計とした。通信に特化したマイコン基板、および基板を挿入するラックタイプのバス回路はMPEから供給され、すでに基本的な動作確認を終えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2020年度内に回路のブレッドボードモデルが一部完成した。1枚の基板で4つの専用ICに電圧を供給し、2枚の基板を制御することで全ての専用ICに電圧供給が可能となった。実機を用いた性能評価はこれからの課題であるが、設計および製作までの一連の作業が完了したことで、今後の残り部分の回路製作も順調に進むと見込まれる。特に、衛星搭載を念頭においた部品選定は全回路について完了した。よって、今回のブレッドボードモデルで予想外の問題が発生した場合でも、製作メーカーと緊密に連携することで、対処するべき回路の特定および代替部品の選定も遅滞なく行える。一方で、MPE側の実験室、DepFETの試験環境を見学して回路開発に生かすという構想は実現しなかった。渡航が可能になった時点で遅滞なく現地に赴き、オンラインだけでは得られない開発の手助けとなる情報を得る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回製作したブレッドボードモデル基板の性能評価を行う。具体的には、基板に搭載されているマイクロコンピュータのプログラミングを行う。これについては、事前に同型番のマイコンを用いて学部生がプログラミングを行っている。その過程で作成した関数群を活用する。2枚の基板を意図通りに制御することが出来れば、その基板をMPEに輸送し、現地で実物のDepFETセンサと接続してX線の撮像分光性能を評価する。それと並行して、専用IC以外に対する電源回路および駆動回路の設計を進める。基本的には初年度に選定した部品を用いて、詳細な回路パラメータを決定する。このとき、実機での性能試験結果をフィードバックする。全てのブレッドボードモデルを完成させるのが次年度の目標である。
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Causes of Carryover |
当初、日本側研究者がドイツに渡航して現地実験室で共同作業を行い、検出器の性能評価を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響により渡航を断念したため、次年度使用額が生じた。これについては、ブレッドボードモデル基板の追加部品購入、オンライン国際会議の参加費などに使用する予定である。
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