2021 Fiscal Year Research-status Report
Strain-Controlled Graphene-Nanoribbon-Base Biochemical Sensors with High Selectivity and Sensitivity
Project/Area Number |
20KK0083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 研 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40396461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAVEY THERESA 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (10816987)
陳 迎 東北大学, 工学研究科, 教授 (40372403)
三浦 英生 東北大学, 工学研究科, 教授 (90361112)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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Keywords | グラフェン / ひずみ制御 / ガスセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンを利用したガスセンサにおいては,ガス吸着にともなうグラフェンの電気抵抗変化を利用する。したがって,センサ感度やガス選択性は,ガス分子との相互作用によるグラフェンの電子状態変化に依存する.そこで,第一原理手法を用いて,H2O,CO,NH3分子吸着によるグラフェンシートのバンド構造及び電荷密度の変化を検討した.グラフェンと吸着分子の有効電荷を解析したことろ,H2OはアクセプターとしてCOとNH3はドナーとして作用することが確認された.また引張ひずみ負荷によりグラフェンからH2Oへの電荷移動が増加することを明らかにした. 解析結果の妥当性及びひずみ制御によるガスセンサの感度向上及びガス選択性への影響を検討するため,サンプルの試作・評価を行った.解析によりシート状グラフェンでもひずみ負荷による吸着エネルギーの変化が示されているので,グラフェンシートを熱CVD法により成膜した後,ポリジメチルシロキサン(PDMS)基板上に転写し,Au/Pt電極をつけサンプルを作製した.試作したサンプルに対し軸方向引張試験を実施し,グラフェンシートの電気抵抗の変化を測定したところ,電気抵抗の顕著なひずみ依存性は見られなかった.一方,水蒸気を含んだガスを試作サンプル上面に断続的に流し,その際の電気抵抗を測定したところ,水蒸気の流入に対しグラフェンシートの抵抗が増加しH2Oに対するセンサ機能が確認された.また,20%の引張りひずみをサンプルに負荷し同様の試験を行ったところ,無負荷時と比較し,電気抵抗変化率の増加が確認された.この結果は第一原理解析の結果と定性的に一致しており,ひずみ負荷によるセンサ機能向上の可能性が実験的にも示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子吸着のひずみ依存性解析やガスセンサ,バイオセンサの試作・評価を通じ,ひずみ制御による可能性を示すことができた.コロナ禍の影響により清華大に直接訪問し研究を実施することはできなかったが,互いにセンサの試作を行い,結果や問題点,今後の方針などについて密に意見交換を行っており,共著の論文も投稿し始めている.また,清華大と当方で,同じひずみ負荷試験環境が整いつつあり,ひずみ制御コンセプトを共有し,相補的に多種多様なセンサの試作に取り組むことが可能になっている.
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Strategy for Future Research Activity |
ひずみを負荷することによりグラフェン応用ガスセンサ,バイオセンサの感度向上が可能であることを示すことができた.今後は,センサの物質選択性の向上にもひずみ制御技術が有効であることを実証し,同一素子で複数種類の分子を個別に検出可能なマルチガスセンサの開発を試みる.一方,グラフェンの電気抵抗は吸着分子のみならず,基板材料,電極材料,温度,圧力など様々な要因で変化するので,グラフェン応用センサの性能ばらつき低減と,機能の安定化を可能にするひずみ制御技術の開発にも取り組む.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の影響により,共同研究先の清華大学への訪問が中止されたため,次年度使用額が生じた.ウイルス感染症の状況次第ではあるが,清華大学への訪問費用に充てる予定である.
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