2022 Fiscal Year Research-status Report
福島県外最終処分のためのウクライナ、北欧、日本の実地層中放射性セシウムの移行評価
Project/Area Number |
20KK0092
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤川 陽子 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (90178145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 省吾 大阪産業大学, 工学部, 講師 (40425054)
国分 宏城 福島県環境創造センター, 研究部, 研究員 (70792472)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | チェルノブイリ / 地下水 / Cs-137 / Sr-90 / 移行現象 / ボルタンメトリ / 管理型埋立処分場 / コンパートメントモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
Chernobyl原発(以下ChNPP)事故に伴う環境の放射能汚染の残るChNPP近傍地域で2022年秋に地雷を避けて井戸水採水とCs-137およびSr-90の分析を実施した.対象井戸はStroybazaの2か所、Neftebazaの1か所、Yanov駅1か所、石棺そばの2か所である。地理情報システムで検討した結果、各モニタリング井戸上流には事故当時の地表の汚染物や建物等の解体物を投棄した廃棄物トレンチが複数認められた。井戸水は4mg/Lから800mg/Lの濁質を含み、その組成は非晶質鉄水酸化物や結晶化した鉄水酸化物等であったが、石棺近くではアルミノケイ酸塩が主体であった。濁質中に含まれる粒子状のCs-137が井戸水中の全Cs-137の20~90%を占めた。地質媒体への吸着性の低いSr-90濃度が井戸水中で高いことは想定内だったが、井戸水中に検出された溶解性のCs-137濃度は、地質媒体に対して吸着性の高いCs-137が移流分散現象により移動すると仮定した場合に比べてはるかに高かった。その実態を説明するために新たな移行現象の概念を構築しているところである。さらに界面活性のあるペルフルオロ化合物を含む泡消火剤が現地で多用されておりこれが放射能汚染の拡散促進につながる可能性について検討に着手している。 さて、ChNPP近傍の地下水は高濃度のSr-90等を含み原子スペクトル法による全鉄等の元素分析は安全性の観点から実施困難だった。そこでボルタンメトリ法による高感度鉄分析法を開発した。今後、現地地下水に適用予定である。 さらに、日本の既存の管理型埋立処分場における東京電力福島第一原子力発電所事故由来のCs-137を含む一般廃棄物焼却灰の埋設状況および浸出水中のCs-137濃度の推移のデータを動的に再現、予測するモデルを、コンパートメントモデル作成ツールECOLEGOで作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の関係で当初計画した規模の現地調査がウクライナで行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ウクライナの現地の協力者と相談し、地雷や侵攻の影響を避けて調査できる井戸や調査地点の洗い出しを行う。モデル開発も推進する。
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Causes of Carryover |
ウクライナへのロシア軍事侵攻の状況により計画を延長した。令和5年度に仮に和平が実現すれば現地を訪問し大規模な調査を行う。和平が実現しなければ現地協力者と相談しChernobyl原発近傍のアクセス可能なサイトでの調査を行う。
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