2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of selective and sensitive multi-analyte detection technology for diagnosis of mosquito-borne viral diseases
Project/Area Number |
20KK0115
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
朴 龍洙 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (90238246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 竜也 静岡大学, 農学部, 准教授 (00397366)
宮崎 剛亜 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 助教 (30775721)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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Keywords | 蚊媒介性疾患原因ウイルス / デングウイルス / ジカウイルス / インピーダンス / ウイルス検出 / チクングニアウイルス / 電気化学的ウイルス検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)蚊媒介性疾患原因ウイルス検出用電極の作製: 0.5M H2SO4中0.1Mアニリンを電解重合で電極表面上にポリアニリン(PAni)層を作製した。0.1 M塩酸と60 mM HAuCl4の懸濁液に、有機層中の0.5 Mのアニリンモノマーを加え、金ナノ粒子を包埋したポリアニリン(AuNP-PAni)を合成した。さらにグラフェン量子ドット(N,S-GQD)を作製し、ウイルス特異的抗体(Ab)を化学的な架橋反応で結合させた。また、上記のAuNP-PAniとAb-N,S-GQDを結合させたAb-GQD/AuNP-PAni複合体を金電極にドロップキャストし、インピーダンスを計測できる電極を作製した。 (2)蚊媒介感染症ウイルスの検出:本研究では蚊媒介感染症ウイルスであるジカウイルス(ZIKV)、デングウイルス(DENV)の4血清型及びチクングニアウイルス(CHIKV)を対象にした。 ① CHIKVの検出: 抗CHIKV抗体を電極表面に修飾しCHIKVの表面タンパク質Nを標的分子として標的タンパク質の濃度を10 fg/mLから1 ng/mLに変化しながらインピーダンスを計測したところ、検出感度が63.78 fg/mLであった。② ZIKVの検出: ZIKVに対する抗体を電極表面に修飾し、ZIKVを標的とした。ウイルス濃度fg/mLから ng/mL範囲でインピーダンスを計測した結果、検出感度が71.26 fg/mLであった。③ 4血清型DENVの検出: デングウイルス様粒子(DENV-LP)を標的として4血清型に特異的な抗体を電極に結合させ、検出を行った。検出感度はCHIKV同様fg/mLレベルであった。 (3)要約:本研究で作製したナノ複合体を堆積した新規電極は、蚊媒介感染症ウイルスを高感度で検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、海外研究者との研究交流が不可能であったので、市販の生物材料(抗原と抗体)を研究に用いた。しかし、研究は、順調に進んでいるが、国際共同研究としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究で得られた成果を土台に、安価なディスポーザブル電極を作製する。 ・電極用ナノ複合体の作製: AuNPを包埋したPAni(AuNP-PAni)は、塩酸(0.1 M)と金(Ⅲ)(0.3 mM)の混合液を、アニリンとトルエンを混合した溶液に加え、界面での自己酸化還元反応により合成する。N,S-GQDは、クエン酸とチオ尿素溶液をMuffle furnaceを用いて180℃、6時間加熱反応で合成する。N,S-GQDには、さらにEDC/NHS化学で標的ウイルス特異的抗体を修飾し機能化する。 ・ディスポーザブル電極の作製:電極の基板を金から炭素材料に変更するため、市販の炭素をコーティングしたスクリーンプリント型電極(SPE)を用いる。PAniは、サイクリックボルタンメトリーを使用してSPE上の炭素と電解重合させることにより堆積させる。その後、抗体修飾済のN,S-GQD-AuNP-PAniをSPE上の作用電極部分にドロップキャスティングを行い、ウイルス検出電極を作製する。作製後、サイクリックボルタンメトリーを用いて電気化学的インピーダンススペクトルを測定し、電極の性能を検証する。 ・標的ウイルスの検出:希釈系列(10 fg/ml~1 ng/ml)を作製した標的ウイルス溶液をSPE上に50 μl滴下し、5分間抗原抗体反応を行う。NoV-LP濃度系列10 fg/ml~1 ng/mlの範囲で標的ウイルスを検出する。得られたインピーダンス値とウイルス濃度との相関関係を調べ、相関編数や検出感度を算出する。また、デングウイルスは4血清型を持つので、クロス反応を行い本SPE電極の安全性を評価する。 【研究協力関係】ディスポ電極の開発は研究代表者が担当する。抗原検出を行うため必要なセルライセートの作製は研究分担者加藤が、海外で採取した蚊媒介性ウイルスと抗体との特異性解析は若手研究者宮崎が担当する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で国外出張が認められず、海外渡航費の執行が不可能であった。今年度国際共同研究のため現地に赴く予定であるため、旅費として次年度使用する予定である。
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