2021 Fiscal Year Research-status Report
核燃料物質選択的沈殿剤開発のための日独アクチノイド化学共同研究拠点
Project/Area Number |
20KK0119
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
津島 悟 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (80312990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹尾 康一朗 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00431990)
金子 政志 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (50781697)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | ネプツニウム / プルトニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
架橋NRPおよびそのTh(IV), U(IV)錯体を合成し、得られた各錯体について単結晶X線回折実験を行った。その結果、2020年度に実施したCe(IV)錯体とは異なり、Th(IV), U(IV)いずれの場合も広い硝酸濃度範囲で硝酸イオンを6個配位したヘキサニトラト錯アニオンが架橋NRPとの水素結合によってトラップされたプロトンを対カチオンとする塩として得られた。硝酸濃度が1 Mの場合にのみ架橋NRPがTh(IV)もしくはU(IV)に直接配位した錯体の形成が確認されたが、いずれにしろCe(IV)で見られたような加水分解挙動は確認されなかった。このことはランタノイドとアクチノイドの錯体化学的な違いが如実に表れたものと考えられる。これら各M(IV)錯体についての量子化学計算による構造最適化および電子状態解析も現在進行中であり、得られた計算結果に基づいて実験結果との突合せを行っている。一方、当初予定していたドイツHZDRでのNp(IV), Pu(IV)実験や現地スタッフを交えた国際共同研究については新型コロナ禍の影響で海外出張を行うことが事実上不可能であったため、次年度以降に先延ばしにせざるを得なかった。ドイツでのNp(IV), Pu(IV)実験の計画を含むアクチノイド錯体化学に関するディスカッションについてはオンラインで継続しており、本国際共同研究を推進するよう最大限努力した。令和3年度末時点で新型コロナ禍の状況が改善されつつあることに基づき、令和4年度中には予定していた実験を行えるよう関係者間で調整を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により2021年度も日本からドイツへの渡航は一度も実現することができなかった。このため、研究は計算化学を中心としたものと、日本で実施可能なトリウム・ウランを中心とした実験に限られることとなった。本共同研究では、ネプツニウムやプルトニウムを利用した実験をドイツで行うことが肝要であり、全体として計画は後ろ倒しとなっている。なお、2022年度の早い時期にドイツに渡航して実験を行うことをすでに計画済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られたTh, U, Ce各錯体の分子構造等のデータに基づき、Np, Pu錯体についての検討を本格的に進める。新型コロナ禍の影響で過去2年の間、ドイツでのNp, Pu実験を行うことができなかったが、2022年度はこれらアクチノイド実験の実施並びにアクチノイド錯体化学の系統的理解の深化について最大限努力する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたドイツHZDRでのNp(IV), Pu(IV)実験や現地スタッフを交えた国際共同研究については新型コロナ禍の影響で海外出張を行うことが事実上不可能であったため、次年度以降に先延ばしにせざるを得なかった。このため、主に旅費について次年度使用額が生じた。今後の新型コロナ禍の状況によるが、支出の面も含め国際共同研究を推進できるよう次年度以降も最大限努力する。
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