2020 Fiscal Year Research-status Report
Development new materials for pneumonia
Project/Area Number |
20KK0125
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
纐纈 守 岐阜大学, 工学部, 教授 (50178208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹森 洋 岐阜大学, 工学部, 教授 (90273672)
濱本 明恵 岐阜大学, 工学部, 助教 (60784197)
二ノ宮 真之 岐阜大学, 工学部, 教務補佐員 (90557638)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | ヒドロキシカウレン酸 / COPD / ヌマダイコン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究グループはヌマダイコンの熱水抽出物が慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む肺炎症疾患に有用であることを突き止め、その主要な活性物質が11αヒドロキシ カウレン酸(11αOH-KA)であることを見出した。 本年度は、インドネシアの農学・生命化学系で主要なボゴール農科大学と協業し、インドネシアの温暖多湿な環境条件を利用しヌマダイコンの大量人工栽培法を確立するため栽培条件の検討を双方で行った。さらに、ヌマダイコン栽培から抽出物調製法の最適条件検討を実施した(纐纈)。抽出物中の有効成分11αOH-KA の高機能化誘導体を合成するためその出発原料の調製方法の検討を行った(纐纈、二ノ宮)。11αOH-KAの標的同定とCOPDに対する有効性の検証を開始した(竹森、濱本)。 また、抗炎症活性に加えて抗癌活性も見出した。そもそも、11αOH-KAには、抗炎症活性と発癌抑制作用があることが報告されている。マウスレベルでの薬効評価では、ヌマダイコン水抽出物を与えたマウスのうち3割でB16F10マウスメラノーマ細胞の担癌の定着抑制が観察された。RAW264. 7マウスマクロファージ細胞では、INF-γ依存的なPD-L1のmRNA及びタンパク質の誘導が11αOHカウレン酸で抑制された。作用機序の解明を目的として11αOHカウレン酸の誘導体を合成し構造活性相関検討した。その結果、疎水性の高い11αOHカウレン酸誘導体での強い抗炎症活性が示唆されたが、PD-L1プロモーター活性及びタンパク発現においては疎水性が低い誘導体での抑制が確認された。このことは、11αOHカウレン酸による抗炎症活性と免疫チェックポイント阻害の機構は異なることを示唆し、11αOHカウレン酸によるPD-L1発現抑制は単に免疫抑制によるものではないと言える。以上のことから、ヌマダイコン及び11αOHカウレン酸の癌免疫制御剤としの開発はCOPD治療の標的検証にも役立つと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスのため互いの行き来ができず直接会って情報交換することができなかったが、TV会議システムを用いて双方で情報交流し、上述のごとく着実に共同研究を進めている。また、「Trivadila, Dyah Iswantini, Min Rahminiwati, Koketsu Mamoru, Takemori Hiroshi, Yulia Mayam Sari Dalimunthe. Indonesian Medicinal Plants with Anti-inflammatory Properties and Potency as Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD) Herbal Medicine」の総説をまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
①ヌマダイコン栽培から抽出物調製法開発(纐纈)、②有効成分11αOH-KAの高機能化誘導体を合成(纐纈、二ノ宮)、③11αOH-KAの標的同定とCOPDに対する有効性を検証(竹森、濱本)。11αOH-KAを創薬基礎原料とし、抗炎症活性及びACE2発現低下を発揮する誘導体を合成する(纐纈)。標的候補の強制発現やノックダウンを通じて、新たな抗炎症シグナル経路を同定する(濱本)。高IL-6誘導性肺炎モデルマウスに摂取させ病態抑制効果を検討する(竹森、濱本) 評価系の最適化:令和3年度はコロナ禍のため渡航困難なためTV会議や電子メールにて協議しながら、これまでの11αOH-KAの皮膚上皮細胞の評価を肺胞上皮細胞に置き換え、実験方法を最適化する(竹森、纐纈、濱本、Dyah)
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