2021 Fiscal Year Research-status Report
Development new materials for pneumonia
Project/Area Number |
20KK0125
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
纐纈 守 岐阜大学, 工学部, 教授 (50178208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹森 洋 岐阜大学, 工学部, 教授 (90273672)
濱本 明恵 岐阜大学, 工学部, 助教 (60784197)
二ノ宮 真之 岐阜大学, 工学部, 教務補佐員 (90557638)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | ヒドロキシカウレン酸 / 慢性閉塞性肺疾患(COPD) / ヌマダイコン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで構築してきた生理活性物質の精製技術と化合物の構造修飾を行ったうえで、肺炎と病態発症機構で共通性が高い薬効モデル動物を組み合わせることで、国際共同研究でしか対応できない地球規模の課題解決を目指している。民間薬利用履歴を活かした新規生薬の開発をヌマダイコンの栽培に適したインドネシアとの共同で、ACE2及び炎症性サイトカイン発現抑制機構の解明と新たな抗炎症天然素材の提供を目的とする。病態評価システムは、我々が独自に開発した新型コロナウイルス肺炎の特徴である高IL-6の肺炎のCOPDモデルを利用する。 まず、産地ごとのヌマダイコンの比較を行ったところ、アジア地域でのヌマダイコンは同一であることがミトコンドリDNA配列で明らかとなった。一方、有効成分のカウレン酸は1カ所水酸基の有無が違うだけで、抗炎症・抗メラニン産生の活性は同一であった(文献1)。さらに、抗炎症活性は、遺伝子発現抑制を想定していたが、有効成分のカウレン酸の構造活性相関の結果、遺伝子発現抑制に加え、一酸化窒素合成酵素2の活性抑制も含まれていた(文献2)。 これまでの研究成果として、 (1)Journal of Natural Medicines, 76 (1), 132-143 (2022). (2)Phytochemistry Letters, 49, 132-137 (2022). の2報の学術論文を報告し受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスによる渡航規制のため互いの行き来ができず直接会って情報交換することができなかったが、TV会議システムを用いて双方で情報交流し、上述のごとく着実に共同研究を進めている。 2021年8月にインドネシアIPBで開催された、WEBサマースクールに岐阜大学修士学生6名が参加した。分担者も講義を担当した。学生同士での交流も開始し、炎症シグナル解明に関しての相互の理解を深めた。
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Strategy for Future Research Activity |
主要生理活性成分の高機能化誘導体を合成する。さらに、11αOH-KA誘導体からの合成展開のみならず、11αOH-KA類縁体からの誘導体の合成展開を進める。得られた化合物の構造活性相関を確かめ基本骨格における重要な部位を特定しより活性の強い化合物を探索する。 合成された誘導体は培養細胞を利用し、各種評価系にて評価を行う。抗炎症11αOH-KAの主な生理作用は、遺伝子発現抑制である。誘導体展開から、11αOH-KAの抗炎症作用に関して3つの標的が同定でき、11αOH-KAの原料となるヌマダイコンを生薬として開発し、11αOH-KAを医薬品原料として開発可能であることを示している。 ビオチン化11αOH-KA高機能化誘導体によるプロテインアレイから、上記以外の標的も示唆されている。標的候補の強制発現やノックダウンを通じて、新たな抗炎症シグナル経路を同定する。有効性はヌマダイコン熱水抽出物及び高機能化11αOH-KA誘導体を、高IL-6誘導性肺炎モデルマウス(コロナウイルス重篤化モデル)に摂取させ病態抑制効果を検討する。IL-6関連病態の肺炎には、LPS誘導性肺炎を利用する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染予防のためインドネシアへの渡航が規制されており海外渡航のための旅費の使用ができなかったため。
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