2021 Fiscal Year Research-status Report
Genetic modificatoin of host crops to endow novel resistant traits against root parasitic weeds based on advanced biochemical knowledge
Project/Area Number |
20KK0131
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡澤 敦司 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10294042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 幸裕 神戸大学, 農学研究科, 教授 (10243411)
若林 孝俊 神戸大学, 農学研究科, 助手 (20843858)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 寄生雑草 / ハマウツボ / 糖代謝 / ストリゴラクトン / インベルターゼ / インベルターゼインヒビター |
Outline of Annual Research Achievements |
ハマウツボ科(Orobanchaceae)ハマウツボ属の根寄生雑草ヤセウツボ(Orobanche minor)の発芽過程で、細胞壁型インベルターゼの活性調節に関わると予想されるインベルターゼインヒビター様蛋白質をコードする遺伝子のクローニングを行った。この配列は、以前行ったトランスクリプトーム解析によって取得した(Okazawa et al., J. Pestic. Sci., 45, 230-237, 2020)。この遺伝子を大腸菌で発現させ、粗酵素液を調製し、ヤセウツボの発芽種子より細胞壁結合性素蛋白質画分のインベルターゼ活性に対する影響を調べたところ、統計的に有意ではないものの、インベルターゼ活性が低下する傾向が示された。現在、組換えインベルターゼインヒビター様蛋白質を精製を進めており、今後、より正確にインベルターゼ阻害活性を評価する予定である。 本実験は、スーダンにおいて同時に進める予定であったが、現状では現地への渡航が困難であるため、適宜Zoom による Web ミーティングを開催している。 さらに、ヤセウツボの種子中でのプランテオースの局在や、その代謝に関わる酵素の細胞内局在など、発芽種子中の糖代謝に関する重要な生化学的知見を取得し、論文として発表した(Okazawa et al., J. Exp. Bot., 73, 1992-2004, 2022)。 さらに、植物中のストリゴラクトン生合成の精密な制御のため、その生合成に関する研究を進め、未だ不明である生合成ステップについて重要かつ新規の知見を得つつある。今後、この知見を活用することで、宿主の生育や根圏での有益な化学コミュニケーションに影響を与えることなく、宿主からの根寄生雑草の発芽刺激物質の分泌のみを制御可能となると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内における研究課題は順調に進行しており、インベルターゼインヒビターとして単離した遺伝子産物に弱いながらも細胞壁インベルターゼ阻害活性が示された。今後、組換え蛋白質の精製を進めることでより確かな情報が得られると期待される。さらに、宿主に根寄生雑草の発芽誘導を行わないという有用形質を付与するための、ストリゴラクトン生合成の詳細について極めて重要な知見が得られつつある。一方、COVID-19 の世界的な拡大に伴うスーダンの深刻な状況に加え、クーデターなどの政情不安が重なり、現時点で相手国への渡航予定は立てられない状況にある。そのような状況においても Web ミーティングを開催し、状況の改善が見られた場合には、直ちに現地での研究を開始できるような体制を構築中である。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の研究は、引き続き当初の研究計画に従って研究を進める。研究課題 1 では、トマトへ根寄生雑草の糖代謝、糖の取り込み阻害すると予想されるインベルターゼインヒビターの導入を進める。現在、これまで注目してきた遺伝子に加え、トランスクリプトームデータより他の候補遺伝子配列も取得し、解析を進めている。課題2では、ゲノム編集により、植物の成長に影響を与えることなく、根寄生雑草の発芽を誘導しないトマトの作出を進める。この方針に極めて重要な生合成関連酵素についての情報が得られつつあり、今後の展開が期待される。いずれの課題においても、コロナ下での国際共同研究の進め方を模索し、アフターコロナに共同研究を加速できるような体制を構築する。
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Causes of Carryover |
COVID-19 の状況により共同研究相手機関の訪問が出来なかった。次年度以降、状況が改善された場合に渡航を予定している。
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