2020 Fiscal Year Research-status Report
海外伝染病レッドマウス病をモデルとした魚類の獲得免疫応答の解明
Project/Area Number |
20KK0144
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
瀧澤 文雄 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (60822913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末武 弘章 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (00334326)
柴崎 康宏 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (30750674)
松浦 雄太 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(南勢), 任期付研究員 (40823894)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | T細胞 / B細胞 / IgM / IgT / 獲得免疫 / ニジマス / 免疫記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
獲得免疫は、リンパ球であるB細胞・T細胞が中心に働き、免疫記憶を伴う免疫応答である。魚類におけるB細胞・T細胞を解析できるツールは限られているが、本研究のモデル動物であるニジマスは、B細胞サブセットのマーカーであるIgM、IgD、およびIgTならびにT細胞サブセットのマーカーであるCD4、CD8分子を検出するためのモノクロ―ナル抗体が利用可能であり、獲得免疫にかかわるリンパ球サブセットについてほぼ包括的に解析することが可能である。そこで、これらB細胞およびT細胞サブセットを同時に解析可能にするために、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが利用可能なものについては、ハイブリドーマの大量培養およびマウスへの腹腔内投与を行い、モノクロ―ナル抗体を含む培養上清と腹水の作製を行った。 また、リンパ球サブセットをさらに詳細に解析するため、リンパ球サブセットの識別に使われるCD抗原(CD8beta、CD4-2aなど)の組み換えタンパク質を作製を試みた。これまで、これらCD抗原を単離し、発現ベクターへサブクローニングを行っており、一部についてはすでに組み換えタンパク質として発現が確認できている。特に、CD8分子については、CD8beta分子単独では発現量が弱かったのに対して、CD8alpha鎖とCD8beta鎖を共発現させることにより効率的にCD8beta鎖が発現することが確認できた。この結果は、魚類においてもCD8betaはCD8alpha分子と二量体を形成し、細胞膜上に発現することが示唆するものであり、ウイルスや細胞内寄生細菌を攻撃するCD8陽性T細胞について比較免疫学的にも新たな知見を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で、国外出張ができず、レッドマウス病やそのワクチンを用いた研究を実施していない。そのため、当初の予定よりはやや遅れているものの、その代わりに研究に必要なツール作製などに注力し、国内においても獲得免疫研究を促進する体制を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカの共同研究者とは、定期的にメールとテレビ電話で研究内容の議論と渡米可能な時期について話し合っている。海外出張が可能な場合は、レッドマウス病を感染させた魚を用いて免疫応答の評価を行う。一方、本年度の渡米が難しい場合は、モデル抗原を用いた刺激試験を行い免疫応答を評価するとともに、YersiniaワクチンであるErmogenの輸入についても検討する。また、リンパ球サブセットやその受容体の特性の解析も進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で海外出張ができず、旅費を使用することがなかった。次年度使用額については、翌年度分も含めて、海外出張が可能になれば、渡米のための旅費に使用するとともに、国内で行う研究分の消耗品費や学会参加の旅費に使用していく。
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Research Products
(3 results)