2021 Fiscal Year Research-status Report
クライオ電子線トモグラフィーによる脂質交換輸送ゾーンの形態・機能解析
Project/Area Number |
20KK0159
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中津 史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50360607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河嵜 麻実 新潟大学, 医歯学系, 特任講師 (10609358)
高杉 俊之 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (40823224)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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Keywords | クライオ電子トモグラフィー / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体と細胞膜が接する膜接触部位では2つの異なる脂質が交換されており、脂質交換輸送ゾーンとして機能していることがわかってきた。本研究では、クライオ電子トモグラフィーを用いた形態学的アプローチにより、脂質交換輸送ゾーンの三次元超微細構造の解明を目指している。 今年度はまず、小胞体と細胞膜の膜接触部位に局在する分子群や、細胞膜および小胞体を含むオルガネラのマーカーとなる分子群の安定発現細胞株の樹立を行った。安定発現用のプラスミドベクターを構築し、これを各種培養細胞に遺伝子導入したのち、薬剤選択を行った。そしてセルソーターを用いてGFPの蛍光強度をもとに最適な発現レベルの細胞群を回収した。そして共焦点顕微鏡観察を用いて、安定的に発現させた目的の分子群について、その発現レベルと局在を詳細に解析して確認したのちに細胞株とした。さらに、クローン化が必要な細胞については、限界希釈法によりクローン化を行い、安定発現細胞クローンとして樹立した。加えて、小胞体と細胞膜の膜接触部位に局在する分子群について遺伝子欠損細胞株の作成にも着手している。続いて、樹立した細胞株を用いてライブイメージング解析を行い、膜接触部位に局在する分子群の局在や動態、また各オルガネラマーカーとの共局在や動的な連携などに関する知見を得た。また、小胞体と細胞膜の膜接触部位を急速に形成誘導するシステムを用いて、イノシトールリン脂質種や他のリン脂質の分布や動態を詳細に解析した。超微細構造の解析に関しては、本来であればクライオ電子顕微鏡解析へ移行する予定であったが、海外渡航規制のために次年度へ持ち越さなければならない状況となった。そこで今年度は通常の電子顕微鏡観察により微細構造の解析に着手した。パラホルムアルデヒドとグルタルアルデヒドの混合液を用いて化学固定を行い、その後は定法にしたがって電子顕微鏡解析のためのサンプル調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クライオ電子線トモグラフィーによる脂質交換輸送ゾーンの三次元超微細構造解明へ向けて、今年度は計画に沿って、観察対象の分子群の安定発現細胞株の樹立を行った。また、それら細胞株を用いて、イメージング解析を行い一定の知見を得た。しかしながら、海外で行う予定の実験については、海外渡航規制のため、次年度へ持ち越さなければならなかった。そこで、今年度は通常の電子顕微鏡解析へ切り替えて、そのサンプル調整を行い、現在観察を行っている。したがって総合的には概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度から行っているイメージング解析、および遺伝子破壊株の樹立を引き続き行う。また、前年度に海外で行う予定であった実験に関しては、今年度中に行う予定へ変更して進めていく。
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Causes of Carryover |
海外渡航規制により、当該年度に海外で実験を行うことができなかったことに伴い、海外渡航費を次年度へ持ち越したことが主な理由である。 次年度は基本的には当初の計画に従って使用するとともに、研究の進展状況に応じた効率的な経費の使用を心がける。
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Research Products
(3 results)