2021 Fiscal Year Research-status Report
野性鳥類における新規脳因子による渡り行動・脂肪蓄積機構の解明
Project/Area Number |
20KK0161
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浮穴 和義 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (10304370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福村 圭介 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 助教 (10880049) [Withdrawn]
岩越 栄子 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 研究員 (50311296)
森下 雅大 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 助教 (10909063)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Keywords | 野性鳥類 / 新規脳因子 / 脂肪蓄積 / 渡り行動 / 寒冷刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまで、鳥類のニワトリ、哺乳類のラットやマウスの視床下部から、新規の視床下部分泌性因子neurosecretory protein GL(NPGL)を発見し、機能解析を進めてきた。その結果、NPGLはde novo脂肪合成を介して白色脂肪組織での脂肪蓄積を促す作用を有することを見出している。この脂肪蓄積の生理学的意義を解明するために、渡り鳥に着目した。渡り鳥は、渡り行動前に大量の脂肪を蓄積し、元の体重の2倍にも達する種も存在するため、NPGLが渡り行動のエネルギー源となる脂肪蓄積に関与していると予想している。本研究では米国カリフォルニア州とアラスカ州を往復する渡り鳥を用い、渡り前後のNPGL発現及 び合成量、脂肪蓄積を行っていない時期でのNPGL投与による脂肪蓄積作用を解析することを目的としている。本研究は海外へ直接出向き現地の野性鳥類を研究対象として用いる以外には実行できないため、国際共同研究が必要不可欠である。 本年度も昨年度に引き続き新型新型コロナウイルスの影響により、実際に渡米しての研究は不可能であり、国内での研究活動に限られた。そのため、渡り行動を引き起こすキー因子として低温への環境変化に着目して研究を行った。ヒトでも冬季の寒冷環境に備えるために脂肪蓄積が生じることから、渡り行動を寒冷応答として捉え、鳥類も含めて他の動物種でも寒冷刺激に応じたNPGLの発現変動を解析した。哺乳類のマウスとラットを用い、低温曝露した際にNPGLのmRNA発現が変動するかどうかを解析した。その結果、マウスではNPGLのmRNA発現に変化は認められなかったが、過食に伴う体重維持が生じていた。一方、ラットでは体重減少が認められ、NPGL mRNA発現が増加することを見出した。このことから、寒冷・脂肪蓄積の減少時にNPGL mRNA発現が上昇することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス拡大により渡米が不可能であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大が収束すれば、渡米を行い、野性鳥類を用いた解析を進めたい。不可能な場合、今後も国内で解析可能な研究を積極的に進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、研究活動の制限が生じ、当初予定していた研究を進められなかった。そのため、次年度使用額が生じた。繰越分は次年度の消耗品費として使用することを計画している。
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