2023 Fiscal Year Research-status Report
Nanoscale visualization and mechanstic understanding of presynaptic plasticity
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20KK0171
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
坂場 武史 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (80609511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 崇史 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (10598577)
坂本 寛和 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (10837397)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Keywords | シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に継続して、シナプス前終末active zoneタンパク質RIMBP2のシナプス伝達における役割を明らかにすべく、ドイツSigrist研究室から供与を受けたKOマウスを用いた解析を行った(Miyano et al., 2024, eLife)。マウス海馬急性スライス標本において、海馬苔状線維シナプス前終末から直接パッチクランプ電気記録を行ったところ、KO標本では、脱分極パルスに対するシナプス前終末Ca電流の振幅が減少した。また、膜容量測定で観察されるシナプス小胞開口放出量の減少が見られた。KOシナプスにおける開口放出量の減少は、細胞外Ca濃度を上昇させることで大部分が元に戻った。脱分極パルスではなく、生理的な活動電位によって誘発されたシナプス応答を測定するため、苔状線維の連発電気刺激に対するシナプス後電流を測定した。RIMBP2 KOマウスでは、シナプス後電流の振幅はWTよりも小さかった。Ca電流の減少を補正すべく、KOで細胞外液Ca濃度を上昇させるか、WTで細胞外液のCa濃度を減少させると、WTとKOの連発刺激に対するシナプス応答の時間経過は似たものとなったが、完全な一致は見られなかった。RIMBP2 KOマウスではCa電流の減少以外にも伝達物質放出機構の阻害が起こっている可能性が示唆された。KOマウスにおけるCa電流量の減少が、Caチャネル密度の減少によるものか、あるいはチャネルの開閉機構の修飾によるものかを明らかにするために、STED顕微鏡で苔状線維シナプス前終末Caチャネルの密度を調べたところ、KOではチャネル密度の減少が確認できた。以上の結果から、RIMBP2はおもにCaチャネル密度制御に重要な役割を担っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初のcAMPによるシナプス伝達制御については、既に論文として公刊している(Fukaya et al., 2021, PNAS)。現在、多様な可塑性メカニズムの解析など進めており、研究としては当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の研究を順調に発展させ、論文を公刊させることに注力したい。
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Causes of Carryover |
コロナ期に海外渡航の制限がかかったために、渡航ができなかったことが主要な理由であり、2023年度も前半は旅行しにくかったため、あまり使用できなかった。2024年度には共同研究が活発になるので、執行できる予定であり、問題ない。
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Research Products
(3 results)