2023 Fiscal Year Annual Research Report
生物情報学、発生医学の活用による原因不明小児肝臓難病の病態発症分子基盤の解明
Project/Area Number |
20KK0172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 久允 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (10451858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸川 貴夫 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (10792814)
今川 和生 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40708509)
水野 忠快 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (90736050)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 小児肝疾患 / 肝内胆汁うっ滞 / 胆汁酸 / オミクスデータ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児肝内胆汁うっ滞症は、小児期発症の肝内胆汁うっ滞症の総称で、多数の遺伝性稀少肝疾患を包含する。臨床診断後、遺伝学的検査を実施し、既知原因遺伝子に病因変異が確認された場合に、確定診断に至る。しかしながら、未同定原因遺伝子が多数存在するため、確定診断率は30%に満たない。また病態分子基盤が不明で治療法が未確立のため、患者は致死性の経過をたどる。本研究では、生物情報学、発生医学を活用し、小児肝内胆汁うっ滞症の新規原因遺伝子の同定、及び当該遺伝子の破綻が病態発症を来す分子基盤の解明を目的とした。 これまでに原因不明小児肝内胆汁うっ滞症患者から取得した肝組織をトランスクリプトーム解析、肝パラフィン切片を病理学的解析に供し、肝組織が有する生物学的情報を数値情報に変換した。さらに本数値情報を用いた数理解析を行い、当該患者集団を複数の亜集団に層別化した。本亜集団は原因遺伝子候補を同定する工程において活用した。すなわち、当該患者集団からエクソームデータを取得した後、亜集団ごとに原因遺伝子探索を実施した。その結果、多数の原因遺伝子候補を見出すに至った。本遺伝子候補群について文献検索などから原因遺伝子としての確度が高いと推定された遺伝子について肝内胆汁うっ滞の発症との関係性を検証した。その結果、遺伝子欠損により肝内胆汁うっ滞の発症を来す遺伝子を2つ同定することに成功し、本遺伝子異常を有する亜集団の病態発症機序について示唆を得るに至った。
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