2021 Fiscal Year Research-status Report
Morphological and Biochemical Profiling of the Degeneration of Small Caliber Axons Using a Murine Model for Myelin-related Diseases
Project/Area Number |
20KK0188
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 喜晴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30596565)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 龍之介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50420203)
土肥 透 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60830536)
デベガ スサーナ 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (30623590) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
|
Keywords | 髄鞘 / 軸索 / オリゴデンドロサイト / ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、様々な神経疾患・精神疾患、認知症等で注目されつつある中枢神経系の髄鞘形成・維持に着目し、特に脆弱な小径軸索の変性または維持機構を解明することを目的としている。Teneurin-4(Ten-4)欠損マウスが小径軸索特異的に髄鞘形成不全の異常を示すため、このマウスを用いて研究を進行中である。初年度である昨年度(令和2年度)のプレリミナリーな結果として、予想に反して、Ten-4欠損マウスでは、髄鞘形成不全後、小径軸索変性までは進行するが、軸索は消失しないことが明らかとなった。当該年度(令和3年度)は予定通り、電顕解析や免疫染色法による様々な週齢のTen-4欠損マウス小径軸索の形態学的・組織学的解析と生化学的手法によるTen-4欠損小径軸索特異的発現タンパク質の網羅的解析を進めた。昨年度の結果から、同定されるタンパク質の意味合いが変わり、無髄小径軸索の消失を食い止めるサバイバルファクターの同定を試みることとなった。形態学的・組織学的解析の結果、Ten-4欠損マウスの小径軸索変性は1年齢で有意であり、且つ無髄小径軸索の組織内の密度が上昇する(互いに接着する)ことが明らかとなった。網羅的解析からは、細胞接着分子、ヒートショックタンパク質、エネルギー代謝酵素に分類される3つのタンパク質が候補として得られた。さらにニューロンとオリゴデンドロサイトの共培養系とニューロンの単培養系を用いて、これら3つのタンパク質の機能解析を進行中である。少なくとも細胞接着分子に関しては、ニューロンの生存を高めている傾向が得られている。また、Simonsの研究室ではTen-4のCKOマウスを作製して、オリゴデンドロサイト特異的なTen-4欠失による小径軸索髄鞘化の影響も調べている。これらの成果の一部を第64回日本神経化学会、第44回日本分子生物学会、第6回日本ミエリン研究会発表会にて報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように、Ten-4欠損マウスの小径軸索が消失に至らず、生存し続けるという予想外の結果が得られたが、大変興味深い結果であり、且つ、大きな軌道修正をせずに研究を進行させることができた。特に目的であった候補タンパク質の同定に至ったことは良かった点である。培養系での活性評価の条件最適化に時間が掛かってはいるが、引き続き、条件検討を進め、できるだけ速やかに活性評価を行い、応用実験の着手を試みる。これまでの研究に関して、国際共同研究先のドイツのSimonsのグループと共同して進めてはいるが、新型コロナウイルスの感染拡大によって様々な制限を受けている。初年度である昨年度(令和2年度)から当該年度(令和3年度)の途中までは、当研究室の元大学院生がポスドクとして先方に滞在することができたので、当初の目的通り、人的交流を行いながら研究を進めることができた。しかしその後は、新型コロナウイルス感染拡大で、人の移動が困難だったため、各々自国での担当の研究を進めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述したように、まずは培養系の条件最適化を進めて、Ten-4欠損マウスの小径軸索に特異的に発現している3種類のタンパク質の詳細な機能解析を試みる。その分子メカニズムに基づいて、以降の計画している実験を進めていく。依然、新型コロナウイルス問題によって計画通りの海外渡航ができないが、状況が改善し次第、人的交流も再開して、期間内での目標達成を目指す。
|
Causes of Carryover |
昨年度と同様、当該年度も新型コロナウイルス問題の影響で、特に海外共同研究者であるSimonsの研究室での実験を計画通りに進めることが出来ず、それに伴い、その分の費用を次年度に繰り越すこととなった。さらにポスドクを一人雇用予定であったが、当人の諸事情により実現できなくなったことも影響した。一方で、研究の過程で、細胞培養法の改良や生化学実験の検出法改善が求められる状況となり、各々に必要な機器の購入を行ったが、前者による影響で繰り越し分の方が大きくなった。次年度以降は、特に新型コロナウイルス感染の状況を見つつ、繰り越した予算を有効に費やし、期間内での目標達成を目指す。
|
Research Products
(7 results)