2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20KK0196
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 憲彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40422307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂河 孝行 自治医科大学, 医学部, 講師 (40418637)
仙波 宏章 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (80747923)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 心臓病 / がん / 血管新生 / 血管内皮細胞増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Bevacizumab などVEGF 阻害薬は血管新生阻害薬として抗がん剤と併せて広く使用されているが、心血管系への副作用が指摘されている。しかしながら血管新生阻害薬による高血圧・心不全発症機序は未だ不明である。我々は、がん化学療法関連心毒性の病態機序を明らかにするために心臓におけるVEGFA機能について検討を行った。成体マウスの心臓では心筋細胞がVEGFAの大部分を産生しているが、心筋細胞由来VEGFAの欠損は心機能に影響を及ぼさなかった。一方、骨髄系由来VEGFAは、量的には極めて少ないにもかかわらず後負荷時の心機能維持及び血管恒常性維持に重要であった。また、心不全時にマクロファージは微小血管系に隣接して存在すること見出した。さらに、内皮細胞との共培養実験から細胞間接着がVEGFA誘導性血管新生を促進することが分かった。以上の知見から、血管新生阻害薬はマクロファージによるVEGFAシグナルを抑制することで心毒性を引き起こしていると考えられた。 また、我々は、Zurich大学Stockmann教授との組織線維化に関する共同研究の中で当初予期していない研究成果として抗線維化ワクチンの開発を行い報告した。正常組織では発現せず、活性化した線維芽細胞でのみ発現する遺伝子の自己ペプチドは抗線維化ワクチンと考え、探索し、Adam12を見出した。In-silicoエピトープ予測により免疫原性ペプチド(抗線維化ワクチン)を選定し、肝臓や肺線維化モデルに投与したところ肝臓及び肺線維化病態におけるコラーゲン集積を抑制した。一方で、健常組織には有害事象を認めなかった。以上から、組織線維化病態はワクチン療法により予防可能であると考えられた。今後、心臓線維化やがん化学療法関連心不全においてもその効果を検証することでワクチン療法ががん化学療法関連心毒性を回避する予防的アプローチとなることが期待される。
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