2020 Fiscal Year Research-status Report
Expanding functional genomics of nontuberculous mycobacteria for establishing strategies for prevention, predictive diagnosis and drug development
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20KK0216
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
立石 善隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30433296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
港 雄介 藤田医科大学, 医学部, 講師 (10836620)
森重 雄太 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 抗酸菌部 結核菌情報科, 研究員 (40765608)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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Keywords | トランスポゾン / 次世代シーケンシング / 非結核性抗酸菌 / 肺MAC症 / 臨床菌株 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦における複数の肺MAC症診療拠点病院から、合計74の臨床株を入手し、比較ゲノム解析を行った。その結果、臨床菌株がtypical M. intracellulare (TMI群)とM. paraintracellulare-M. indicus pranii(MP-MIP群)の2群に大別されることを見出した。そして、M. intracellulare、M. paraintracellulare、M. indicus praniiの亜種レベルでの同一性、M. yongonenseとM. intracellulareの種レベルの同一性が示されたことから、M. intracellulareおよび類縁菌種の分類に対する再考の必要性が示唆された。さらに、変異集積プロファイルやパンゲノム解析により、トランスポーター関連遺伝子であるmceオペロンがゲノム多様性の因子のひとつであることが明らかとなり、M. intracellulareの系統進化にかかわる可能性が示唆された。 また、Mycobacterium intracellulare標準株では、506の生存必須遺伝子が存在することを誌上発表したが(Tateishi Y. Sci Rep. 2020)、臨床株にも共通した生存必須遺伝子か否かが不明であった。そこで、病原性の異なる臨床株について、トランスポゾンを導入し、変異株プールを作成した。この変異株プールからTnSeqにより生存必須遺伝子を同定したところ、生存必須遺伝子数が368ないし365であり、標準株よりも少ないことが分かった。そして、フルオロキノロン(gyrB, gyrA)、 エタンブトール(embB, embA)、サイクロセリン(alr)、リファンピシン(rpoB)、SQ109(mmPL3)といった既知の抗結核薬における標的遺伝子が共通生存必須遺伝子であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本邦における複数の肺MAC症診療拠点病院から、合計74の臨床株を入手し、比較ゲノム解析を実施した。その結果、M. intracellulareおよびその類縁菌種に対する分類再考の必要性とゲノム多様性を決める因子を提唱することができたため、誌上発表を行った(Tateishi Y. BMC Microbiol. 2021)。また、ゲノム型の異なる臨床菌株8株のトランスポゾン変異ライブラリーを作製し、TnSeqを実施した。以上より、研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、低酸素静置バイオフィルムモデルおよびマウス感染モデルを使って、本邦の菌株におけるバイオフィルム形成必須病原因子ならびに生体感染必須病原因子をTnSeqにより同定する。さらに、蛍光標識MAC菌を用いて、自然環境を模した流体中に形成されるバイオフィルムの形成機構を解明する。同定した病原因子に対して、遺伝子組換え実験により遺伝子欠損株を作製し、バイオフィルム形成ならびに生体内での病原性への関与を直接的に証明する。世界的コロナウイルスパンデミックのため、米国ミネソタ大学関係者との対面によるTnSeq解析手法の共有とデータ討議が困難となっているが、これまでの国際共同研究の成果とオンラインでの討議を活用しながら、次世代シーケンシングの手法改良と臨床菌株間での生存必須遺伝子の比較手法の開発を行う。世界的コロナパンデミックの沈静化を確認できれば、渡航によるスーパーコンピューターを利用した代謝パスウェイ解析を計画する。米国MAC菌株については、米国側研究協力者と連携し、入手に努める。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナパンデミックにより、2020年度の米国渡航が困難となったことによる出張経費の未使用分が生じた。2021年度は、TnSeqを行うためのDNAライブラリー作製技術、ならびにコンピューター解析について、米国ミネソタ大学からの技術提供を最大限に活用し、本邦でのTnSeq解析を進めていく。コロナパンデミックの終息の兆しが見えれば、できるだけ早期に渡航を計画する。
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[Journal Article] Structure-Activity Relationships of Pyrazolo[1,5-a]pyrimidin-7(4H)-ones as Antitubercular Agents.2021
Author(s)
Oh S, Libardo MDJ, Azeeza S, Pauly GT, Roma JSO, Sajid A, Tateishi Y, Duncombe C, Goodwin M, Ioerger TR, Wyatt PG, Ray PC, Gray DW, Boshoff HIM, Barry CE 3rd.
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Journal Title
ACS Infect Dis.
Volume: 7
Pages: 479-492
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Higher genome mutation rates of Beijing lineage of Mycobacterium tuberculosis during human infection.2020
Author(s)
Hakamata M, Takihara H, Iwamoto T, Tamaru A, Hashimoto A, Tanaka T, Kaboso SA, Gebretsadik G, Ilinov A, Yokoyama A, Ozeki Y, Nishiyama A, Tateishi Y, Moro H, Kikuchi T, Okuda S, Matsumoto S.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 10
Pages: 17997
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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