2021 Fiscal Year Research-status Report
チェルノブイリ放射線誘発甲状腺がんの遺伝子バンク設立と分子遺伝疫学国際共同研究
Project/Area Number |
20KK0217
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
光武 範吏 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50404215)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 由華 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (00533902)
伊東 正博 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 臨床検査科, 病理医 (30184691)
酒匂 あやか 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (60884187)
|
Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
|
Keywords | 甲状腺癌 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、放射線誘発癌の発癌メカニズム、特に放射線によって発癌しやすい遺伝的背景(体質・個人差)を明らかにするために、 チェルノブイリ原発事故後の放射線誘発小児甲状腺癌症例に加え、比較対象となる追加症例を収集し、次世代ゲノム解析を行うものである。また、甲状腺癌の病理組織学的分類には様々な変更が加えられ、当時の病理診断を検証する必要がある。 2021年度は、長崎大学原爆後障害医療研究所の外国人研究員(客員教授)として招聘したウクライナ内分泌代謝研究所のボグダノワ教授によって、チェルノブイリ原発事故後の放射線誘発小児甲状腺癌、比較対象として同地域の非被ばく散発性小児甲状腺癌症例の詳細な臨床病理組織学的検討を行い、放射線誘発癌には、充実性・索状パターンやより悪性度の高い病理学的特徴があることを報告した。ミンスクがんセンターとはオンラインミーティング等によって連絡を取り、スライドスキャナーを用いた複数での検討を行い、古い症例の病理学的再検討を進めた。これまでの放射線誘発甲状腺癌症例の約9割の再検討を完了した。 世界的な新型コロナウイルス感染拡大が収まらず、本研究の対象となるベラルーシ、ウクライナ、ロシアでもそれは同じであった。また、一部の連携拠点ではテレワーク主体となり、手続きは遅々として進まず、現地での新規試料の収集は行うことができなかった。 ゲノム解析に関しては、昨年度に引き続き、既存の試料について、病理学的再検討が終了したものから施行した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も、世界的な新型コロナウイルス感染拡大は収まらず、渡航や新規試料の収集が出来なかった。その一方、ウクライナ研究者の招聘やインターネットを使ったミーティング、スライド画像共有により、一定の進捗は得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響がどこまで続くか不明である。さらに年度末よりロシアによるウクライナ侵攻が開始され、次年度はベラルーシ、ロシアとの共同研究が難しくなる可能性がある。この影響は予想が難しく、可能な限り早期に病理学的再検討を完了させ、既存試料のゲノムデータ取得を進める。
|
Causes of Carryover |
2021年度も新型コロナウイルス感染拡大による影響が続いたため。海外への渡航が全くできなかった。次年度はさらにロシアによるウクライナ侵攻の影響を予想するのが難しい。まずは、既存試料の次世代ゲノム解析のデータ取得量増加に充てる予定とする。
|