2022 Fiscal Year Research-status Report
黄海底部冷水塊における残留性有機汚染物質の濃度上昇に関する現場検証と機構解明
Project/Area Number |
20KK0239
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
郭 新宇 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (10322273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉江 直樹 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (50374640)
後藤 哲智 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 特定研究員 (90825689)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 黄海 / 底部冷水塊 / 残留性有機汚染物質 / 数値モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では現場観測と数値モデリングを展開している。今年度は、まず2020年11月にTang博士グループの黄海航海で得られたサンプルについて分析作業を行った。その後、昨年度に測定した2020年6月と8月のサンプルとの比較を行い、表層海水の全サンプルと底層海水の94%サンプルから、デクロランプラス(Dechlorane Plus, DP)が検出されることが明らかとなった。一方、数値モデリングでは、理想化された海底地形を用いて底部冷水塊の計算結果の解析を行い、底部冷水塊におけるPOPsの蓄積過程の理解を深めた。特に、シミュレーションの感度実験から、底部冷水の崩壊に伴いそこに蓄積されていた高濃度のPOPsが表層へと移動することや、POPsの粒子吸着係数を変化させることにより異なる鉛直プロファイルが生じることが分かった。また、あるPOPsの底部冷水塊における蓄積する度合いについて、そのPOPsのヘンリー常数と植物プランクトンへの生物濃縮係数から予測する手法を開発できた。 さらに、上記のモデルを東シナ海・黄海・渤海に適用させ、底部冷水塊が発達する黄海におけるシミュレーションの結果を検討した。モデル計算の対象は、物理化学特性が異なるポリ塩化ビフェニルとポリ臭素化ジフェニルエーテルの主要異性体2種(CB-153及びBDE-209)とした。溶存態PCB-153の濃度は、春から夏にかけて高く、秋に低くなるが、粒子態PCB-153の濃度は初春に一番高くなり、一方BDE-209では、溶存態の濃度は夏に高く、冬に低くなるが、粒子態濃度はやはり初春に高くなることが示された。さらに、夏に溶存態PCB-153とBDE-209は、それぞれ海底と海面に蓄積されることが分かった。このように生化学的特性の異なるPOPsは、同じ海洋環境においても異なる挙動を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では2種類の粒子を取り扱う予定である。これまで、植物プランクトン由来の生物粒子を中心に数値モデルの構築を行ってきたが、モデル中の懸濁粒子と堆積物の取り扱いはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現地観測において主にTang博士の研究グループの観測結果をベースにして底部冷水塊の役割を検討するが、モデル研究においては、準備し始めた懸濁粒子モデルの開発を速めると同時に、成果発表を積極的に行う。さらに人的な交流は正常になりつつであるため、対面形式の打ち合わせの回数を増やしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は主にコロナ感染症の影響で海外渡航ができなかったためである。次年度に海外渡航が正常化になるため、次年度使用額を旅費と人件費に使用したいと考えている。また、研究成果を積極的に投稿し、オーペンアクセス費としても利用したいと考えている。
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Research Products
(6 results)