2020 Fiscal Year Research-status Report
Revealing the ecophysiologies of nitrous oxide-reducing bacteria towards the mitigation of greenhouse gas emissions in advanced nitrogen removal processes for wastewater treatment
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20KK0243
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
寺田 昭彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30434327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岩 恵 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00761024)
徳山 英昭 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10363029)
末永 俊和 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80828377)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 脱窒 / 亜酸化窒素 / 高度窒素除去システム / 電子競合 / 電子伝達 / 嫌気性アンモニア酸化 / 遺伝子発現 / メタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ドイツ・ダルムシュタット工科大学のSusanne Lackner教授らとともに、嫌気性アンモニア酸化プロセスを中心とした高度窒素除去技術を導入した排水処理施設に潜む高活性N2O還元細菌の同定・機能評価と、N2O削減に向けた利用技術開発を行う。2020年度の研究実績として、高度窒素除去技術である嫌気性アンモニア酸化を行うバイオフィルムに対し、メタゲノム解析を実施した。N2O還元酵素をコードする機能遺伝子を手掛かりとしてN2O還元性能を有する細菌群の解析を行ったところ、獲得したメタゲノムアセンブリ配列の多くが、脱窒反応に関与するいずれかの遺伝子を保有していないことを明らかにした。この結果より、嫌気性アンモニア酸化を行うバイオリアクター内には、非脱窒性の細菌群がN2O消費を担っている可能性を示唆した。また、N2Oを選択的かつ精緻に供給可能なバイオリアクターを開発し、集積培養を開始した。16S rRNA遺伝子に基づくアンプリコン解析を実施した結果、非脱窒性のnosZ clade IIタイプの細菌として知られるN2O還元細菌が高密度に集積されることを明らかにした。 さらに、高効率にN2O還元が可能なAzospiraに帰属する細菌の生理学的特性を評価した。N2Oと競合する電子受容体として亜硝酸もしくは硝酸イオンを供給し、有機物から供給される電子がどの受容体に優先的に受け渡されるかを評価したところ、Azospira属はN2Oの還元反応に優先的に電子が供給されることを明らかにした。また、Azospira属の検出・定量に向け、特異的な検出が可能なPCRプライマーの設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事前に立案した計画に基づき、研究を進めることを意識した。新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言による研究活動制限の際は、集積培養装置のサンプリング頻度を減らし、より多くの時間をゲノム解析やコンピューターを用いたPCRプライマー設計等に時間を費やすようにして対応した。また、隔月で行う予定であったダルムシュタット工科大学とのビデオ会議を毎月行い、最新文献や学会発表等の情報共有を密に行い、研究内容の絞り込みを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの蔓延に伴う海外渡航制限がいつまで続くか不透明であるため、ミーティングの頻度を上げて、研究結果の解析を双方のグループで効率的に行えるように連携を図る。また、当初は日本人研究者が渡航を行い、ダルムシュタット工科大学で研究を行う予定であったが、実現が難しい場合は、ドイツ側研究者による実験も検討する。これに加え、文献調査を進めることによりN2O還元細菌に関連する総説の執筆を検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた打ち合わせ・サンプリング・前処理のためのドイツ・ダルムシュタット工科大学への渡航が新型コロナウイルス感染症により実施できなくなってしまった。これにより、使途予定の消耗品費・謝金・旅費の計上が無くなり、次年度使用額が生じた。次年度は、効率的に研究を進めるために、メタゲノム・メタトランスクリプトーム解析の外注委託、N2O還元細菌の分離培養のスループット性を上げるために培養装置の購入を行う。
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