2023 Fiscal Year Research-status Report
微細藻類-硝化菌固定化遮光ゲルによる窒素含有排水の低コスト処理:メキシコを例に
Project/Area Number |
20KK0249
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
井田 旬一 創価大学, 理工学部, 教授 (20409783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 光彦 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (50794038)
中國 正寿 香川大学, 農学部, 協力研究員 (90822643)
秋月 真一 創価大学, プランクトン工学研究所, 講師 (60772340)
西 健斗 創価大学, 理工学部, 助教 (80980771)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Keywords | 微細藻類-硝化菌固定化遮光ゲル共存系構築 / 窒素含有排水処理 / 遮光ゲル / 途上国での水処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、メキシコをフィールドとし、「微細藻類-硝化菌固定化遮光ゲル」共存系による高アンモニア含有排水の低コスト処理の実現を目的としている。4年目である今年度は、まず長期連続実験に耐えうる高耐久性の硝化菌固定化遮光ゲルの開発を行い、ポリビニルアルコールとアルギン酸の複合ゲルを用いることで、これを達成した。その後、これまで基質として人工排水を用いていたが、実排水であるてメタン発酵消化液を用いて、低濃度から高濃度までのアンモニアの除去を行なった。高濃度アンモニアで馴養した硝化菌固定化遮光ゲルを用いることで高濃度アンモニア条件下でも高い除去率を示すことが分かった。 そのため、次に日本の屋内において、提案共存系を用いた長期連続処理(113日)を行い、課題の洗い出しを行なった。その結果、100日以上の長期実験においても、ゲルの耐久性および遮光性に問題がないことが明らかとなった。またpHやDO濃度の調整を行っていないにも関わらず、本研究で提案した共存系プロセスは長期にわたって安定的に運転が可能であり、かつ、高光下、高アンモニア負荷という過酷な条件に対する耐久性があることが明らかとなった。その一方で、本共存系システムにおいて、亜硝酸の蓄積が長期間続き、安定して硝酸が発生したのは実験開始から約40日後であった。既存研究と比較して時間がかかったことが課題であると考えられる。したがって、メキシコでの屋外長期連続実験では、より短期間で硝化反応が始まるように硝化菌固定化遮光ゲルの投入量を増加させて実験を行うこととした。 そこでリアクターの検討、作成を行なった後、最後に提案共存系を用い、現地のメタン発酵消化液を基質とし、メキシコの屋外環境下で長期のアンモニア除去実験を実施した。その結果、77日間の実験期間を通して安定して70.8%のアンモニア態窒素の除去を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度、2年度がコロナにより現地での研究が遅れたのが響き、元々予定していた研究実施期間内では、サブテーマ3の「最適化された硝化菌固定化遮光ゲルを用いた長期連続排水処理性能評価」までしか終了しなかった。しかし、サブテーマ3までは概ね目標としていた結果が出ている。そのため、プロジェクトの1年延長を申請し、許可された。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ未実施である、サブテーマ4 「回収バイオマスの安全性・有用性評価」を実施する。:テーマ3で回収した処理懸濁物(処理水とバイオマスの混合)を固液分離し、固形分を乾燥させ、餌料・飼料成分(脂質・炭水化物・タンパク質)、肥料成分(全炭素、全窒素、全リン、栄養塩、カリウム、カルシウム他)、有害物質成分(ヒ素、カドミウム、残留農薬他)、病原菌の有無を測定する。結果をメキシコで定められた肥料・餌料取締法の基準値と比較する。
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Causes of Carryover |
コロナで全体的な遅れが生じた分を取り戻そうと努力したが、計画していた全てを終えることができなかった。特にサブテーマ3は実験自体は終了したものの、分析・解析が残っている。またサブテーマ4 「回収バイオマスの安全性・有用性評価」は未実施である。そのため、これらの分析、解析や得られた結果の公表、および最終報告会・公開シンポジウムに残予算を使用する計画である。
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