2022 Fiscal Year Research-status Report
人間活動に伴う植物の短期的適応進化の学際統合的理解
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20KK0257
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大林 武 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50397048)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 遺伝子共発現ネットワーク / 短期進化 / 進化圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
異質倍数体はゲノム配列の種内バリエーションを一つの個体に取り込み、遺伝子の新しい組み合わせを探索することで、新規の環境へ適応する植物の短期進化の重要な戦略である。本研究では、遺伝子共発現解析によって異質倍数体に生じた新しい遺伝子ペアを網羅的に検出し、その機能を解き明かす。特に、異質倍数体におけるサブゲノム間の共発現ネットワークの比較を、亜種間の比較、近縁種間の比較と比べることで、異質倍数性による短期進化の特徴を明らかにする。 シロイヌナズナでは非標準種のRNAseqデータが利用できるため、標準種と非標準種を組み合わせた共発現解析法を検討した。複数の共発現ネットワークの比較解析においては、平均共発現度とそれからの差分に着目することが有効であるが、単純にすべての共発現ネットワークでカバーされる遺伝子ペアを対象として解析する方法では解析対象遺伝子が有意に減少してしまう問題がある。そこで欠損データがある遺伝子ペアに対してもロバストな平均値の計算が行えるような手法を開発し、多様な共発現ネットワークを比較する際の問題を解決した。 並行して、ゲノムスケールでの共発現関係の比較を行うツールの開発を進めた。共発現距離をUMAP法で2次元表示した共発現マップを近縁種間で比較することで、遺伝子モジュール構造と遺伝子パスウェイの関係を比較できるようになった。異質6倍体であるコムギの共発現データを試験的に作成し近縁種との比較を試みたところ、倍数性のあるコムギを2倍体の近縁種と比較するには、次元削減において近傍点のパラメータを調整が重要であると判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に従って渡航先での共同研究を実施し、倍数体植物の共発現データの解析とそのための解析ツールの開発を並行して実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
異質倍数体におけるサブゲノム間の共発現ネットワーク解析を亜種間の比較、近縁種間の比較と多階層的に行うことで、異質倍数性に基づく短期進化の特徴を明らかにする。
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Research Products
(5 results)