2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Globalization of the Livestock Trade and Animal Health in Comparative Perspective
Project/Area Number |
20KK0274
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
光田 達矢 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (90549841)
|
Project Period (FY) |
2021 – 2023
|
Keywords | 食肉 / 肉食 / 貿易 / 防疫 / 菜食主義 / 家畜 / 衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、アジアを中心に食肉消費が飛躍的に伸びているため「肉食社会」に対する批判が高まっている。世界的に拡大する畜産業が及ぼす環境破壊、抗生物質の乱用による家畜感染リスクの向上、過度な動物性食品摂取による健康被害などが指摘されている。基課題は、大衆肉食社会への扉が開かれた1860年代から1970年代を対象期間に据え、ドイツと日本が歩んだ対照的な道を分析することで、国際的に議論されている肉食化問題に比較史学に基づく貢献を目的としている。本国際共同研究は、ドイツと日本の事例を考慮しつつ、よりグローバルな視点の導入を目指したものである。
最終年度は、3つの活動に従事した。昨年度から引き続き、国際学会での研究報告を重ねるとともに国際研究ネットワークを強化した。また、公文書館における一次資料の発掘を仕上げ、そして単著執筆に取り掛かるようになった。非西洋諸国を研究対象とする国際的な研究者との交流は大きな刺激となり、ドイツの肉食化に関しては東ヨーロッパとの関係性をより重要視するようになった。さらに、日本の肉食化に関しては旧植民地をはじめ、非西洋諸国における肉食化との対比を分析に盛り込むようになった。そして、これらの国際的な視点を活かし、単著("Intervening in Animal Bodies in 19th Century Germany")の執筆に取り組むようになった。物価高と円安の影響を受け、国際学会を開催する資金は枯渇したが、本国際共同研究を通して得た国際研究ネットワークとグローバルな視点を活かし、成果を共著として出版する道を模索中である。
|