2021 Fiscal Year Research-status Report
世帯内に隠れた貧困:国際共同研究を通じた実証的把握と貧困把握の新たな方法論の構築
Project/Area Number |
20KK0287
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 里美 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20584098)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 貧困 / ジェンダー / 世帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第一に、世帯を単位とした従来の貧困把握の方法では見えなくなってしまう世帯内に隠れた貧困について、「消費生活に関するパネル調査」(JPSC)のデータを分析することで、日本におけるその実態を実証的に把握することであった。その際、同様のデータの分析に長く従事してきた海外の研究者と共同で行うことで、世界的にも類を見ないデータソースであるJPSCの分析可能性を最大限に高めるとともに、国際的レベルの研究に発展させる。 本研究の第二の目的は、従来の貧困研究の方法とその背後にある貧困概念を、ジェンダーの視点から問い直す理論的検討を行うことであった。特に女性が世帯内で経験している不平等とそれゆえに生じる困窮状態を把握するためには、世帯単位で貨幣資源を把握するという従来の貧困研究の手法を超えて、個人単位かつ貨幣にとどまらない生活の把握と、その背後にある貧困概念の再検討に踏み込む必要がある。 本年度は、英語圏で発展しているこの分野の研究状況の把握と、日本におけるJPSCを分析した先行研究の把握を行った。3月からは予定どおり英国・グラスゴーに渡航し、Glasgow Caledonian UniversityのSara Cantillon教授と、データのクリーニング等を担う研究員ともに、JPSCのデータの分析に着手しはじめている。週1回程度のミーティングを定期的に行い、今後の方針と、どの変数を分析するかを話し合い、英語圏と日本語の関連する先行研究を検討している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり英国・グラスゴーに渡航し、計画どおりにデータの分析に着手しはじめているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、JPSCの分析を共同で行い、2本の論文の執筆を目指す。1本目はJPSCの特性を生かした縦断的データ分析で、世帯内資源配分の長期的変化を把握する。2本目は、ヨーロッパの同様のデータとJPSCを比較し、世帯内資源配分の国際比較を行う。
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