2021 Fiscal Year Research-status Report
An empirical study on pre-primary education in the north of Thailand
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20KK0300
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高柳 妙子 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 日本学術振興会特別研究員 (30444706)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | タイの就学前教育 / 先住民の子どもたち / 子ども観 / 母語教育 / ジェンダー構築過程 / ESD / 先住民の子どもたちの生活文化 / 人類学調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タイ北部の少数民族の多文化・多言語環境に育つ子どもたちを対象とした幼稚園教育の現状と保護者の幼稚園教育にたいする価値観と課題を明らかにすることである。幼稚園教育の研究は、質問紙調査の結果を計量的に分析するものが多い。本研究は、タイ北部の多言語社会の中で、幼稚園での参与観察と教育者および保護者へのインタビュー調査から、幼稚園の教育内容、子どもの生活文化・母語の実態を調査し、乳幼児期から多言語・多文化環境に育つ子どもたちの発達を据えた幼稚園教育の提供に対して改善点を提案する。基課題では、幼稚園の観察と、保護者への幼稚園教育に関する基礎的な聞き取り調査までしか実施できないが、本国際共同研究では、長期間の滞在の中で保護者との信頼関係を構築しながら、特定の家族に焦点を絞り、数多く収集することができる事例研究までを行う。タイ・チェンマイ大学社会学部イワトンワナ博士とフィールドワークを行い、分析結果を、タイと日本で共同発表するとともに英文論文として広く公表する計画である。 現在、新型コロナ感染症の影響で、タイへの渡航が難しい状況にある。その中で、共同研究者とタイ政府の発行する就学前教育政策、子どもの権利、タイにおける先住民の人々が生活する地域の開発政策、先住民の子どもたちのケアなど政策文書の収集とタイ語から英語への翻訳を完了して研究の枠組みを構築した。その後、フィールドワークにおいて実施する質問項目の設定を行い、早稲田大学の倫理委員会の承認を得た。研究目的は、タイ農村部における就学前教育政策実施過程、親が持つ子ども観、母語教育の実情、男女児を育てる家庭でのジェンダー構築の過程、持続可能な開発のための教育(ESD)の実情を明らかにすることと決定した。タイの共同研究者が安全に注意して実行できる範囲でチェンマイ市近辺でパイロット調査を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タイ政府が発行する就学前教育に関する文章の入手と英訳、アジアおよび開発途上国における就学前教育の先行研究、日本国内のおける調査に関する倫理委員会の承認手続き完了、調査地での質問票の作成、チェンマイ市近郊の就学前教育実施機関におけるパイロットスタディ着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の拡大状況と、タイ国のVISA申請の状況をみながら、タイにおいて長期滞在して調査を実施する準備を開始する。タイ国の研究者VISAが入手できれば、8月には渡航し、タイ・チェンマイ大学社会学部を訪問して、海外共同研究者のイワトンワナ講師と意見交換をして、パイロットスタディに基づいて、研究計画の基本枠組み、妥当性や課題等を再検討する。 タイ・チェンマイ大学に8か月間(令和4年8月~令和5年3月)滞在して、本格調査を実施すると共に、タイ国内や東南アジアで行われる国際会議やセミナーに参加する。渡航中に一時帰国して、国際開発学会、アジア教育学会、比較教育学会、SDGsいたばしネットワーク総会等で成果発表して知見の共有を図る。
チェンマイ市内とチェンマイ市近郊の先住民の子どもたちが通園する幼稚園の調査を実施し、教員、保護者、コミュニティの人々に対してインタビュー調査を行う予定でいる。
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Research Products
(2 results)