2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of exotic atoms by microwave spectroscopy
Project/Area Number |
20KK0305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 直史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10391947)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | マイクロ波分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
スイスの共同研究先への渡航制限が続き,現地への渡航ができず当初計画より研究の状況も大きき変化したため開始が遅れていたが,12 月半ばより開始した.ただし,直後に再び強い渡航制限が入ったため,見込みより遅れているが,年度末より緩和され始めたため,研究を進展させていける見込となった. 基課題でのラムシフト分光での共同を元にして,反水素原子およびミューオニム原子のマイクロ波での分光を進めることとした.特に微細構造の分光は,本研究で従来より精度を高めることが可能であると見積った.反水素原子については,強磁場中で2%程度の測定が他実験で行なわれたが,本研究で得られる反水素原子ビームによって磁場の擾乱のない条件下で二桁の改善と,将来的には10ppmへの到達を見込めた.ミューオニウム原子については,QEDのテストとしてこれまでの測定より二桁高い精度を見込めた. それらの微細構造分光を可能とするマイクロ波分光装置の開発を開始した.対象となる反水素原子やミューオニム原子の微細構造分裂は 10GHz 程度の周波数のマイクロ波に相当しており,遷移に必要な周波数帯域と分光に必要な精度の発振器を整備した. また,共同研究相手では,日本側が渡航できない間も基課題でのマイクロ波照射装置設計を元に現地でミューオニウムのラムシフトを測定し,我々の手法で測定が可能であることを示した.それを受け,10GHz のマイクロ波を導入する装置の設計を行い,共振器型と伝送線路型の二種類の分光装置の検討をシミュレーションをもとに進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スイスの共同研究先への渡航制限が続いたため遅れていたが,目処のついた昨年度後半から研究開始の準備をはじめ 12 月半ばより研究を開始した.ただし,直後に再び強い渡航制限が発された.年度末より緩和されはじめため研究を続行できると考えている.その中で,エキゾチック原子の微細構造の分光に適したマイクロ波分光装置の開発にとりかかった. 反水素原子やミューオニム原子の微細構造分裂は 10GHz 程度の周波数のマイクロ波に相当しており,遷移に必要な周波数帯域と分光に必要な精度の発振器を整備した. 基課題でのマイクロ波照射装置設計の経験をもとに,10GHz のマイクロ波を原子に照射する装置として,共振器型と伝送線路型の二種類でのシミュレーションを進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
設計を完了させ装置を製作次第,水素原子線によるテストを行う.スイスにある反水素実験施設で供給できる水素原子ビームを使えるかは,現地でのビームの利用状況によるが,難しい場合,日本で整備している水素原子線を用いることでテスト実験を進める. スイス現地の CERN には共同研究者らが長期滞在しているため,現地で進めている基課題での水素および反水素のラムシフト分光を通じて本研究でのマイクロ波分光装置の設計に反映させる.
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