2022 Fiscal Year Research-status Report
Optical design for grazing incidence multilayer mirrors for high-spatial resolution imaging in soft X-ray region
Project/Area Number |
20KK0312
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
豊田 光紀 東京工芸大学, 工学部, 教授 (40375168)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 多層膜ミラー / 軟X線 / 斜入射 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランス滞在の大きなテーマであった200-700eV領域用の斜入射結像ミラー光学設計の探索では、複数の新規解の探索に成功した。初めに、2つの球面ミラー(入射角60度)からなる1次元結像系を検討し、球面ミラーに動径座標のベキで表現される僅かな変形を与えることで球面収差と正弦条件を同時に補正する、複数のアプラナート解が存在することを明らかにした。次に、2つの1次元結像系を直交に配置する2次元結像光学系を検討した。その結果、ベキ関数による微小変形のみでは、1次元光学系では観察されない偏心収差(Trefoil項)が無視できない程度に生じることが分かった。これらの偏心収差の効果的な補正法として楕円Zernike多項式を提案した。楕円Zernike多項式は、直入射光学系の設計で広く使われるZernike多項式の定義域を楕円に拡張したもので、ミラー基板上で瞳形状が楕円となる斜入射ミラーでの収差補正に好適である。上述の設計解を始点として、ミラー基板に楕円Zernike多項式による微小変形を付加し、その光学特性を数値計算により最適化し評価した。その結果、2次元結像に好適な新奇のミラーデザインを見つけることに成功した。さらに、共同研究者と協同で多層膜ミラーの光学設計、とくに高反射率を与える物質対の検討を進めた。その他、パリ光学研究所、ドイツフラウンホーファー研究所とスロバキア科学アカデミーの3箇所で依頼講演(講義)を行い、本研究および関連する研究分野について議論および情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始時に想定していた斜入射ミラー光学系設計解の探索法において、予期していなかった課題があることが判明したが、新考案の楕円Zernike多項式面を反射面に適用することで複数の低収差解を見出すことに成功したため。 また、滞在先(Institut d'optique)研究者との協同により斜入射ミラー光学系に好適な多層膜コーティングの物質対の探索に目処をつけるとができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた、新考案の楕円Zernike多項式面を適用した4面光学系の設計解を用いて、新規解の作製、とくにミラー基板の精密研磨法について検討する。 さらに、斜入射多層膜ミラーの試作と光学特性の評価を行う。
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