2023 Fiscal Year Research-status Report
Optical design for grazing incidence multilayer mirrors for high-spatial resolution imaging in soft X-ray region
Project/Area Number |
20KK0312
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
豊田 光紀 東京工芸大学, 工学部, 教授 (40375168)
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Project Period (FY) |
2021 – 2024
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Keywords | 多層膜ミラー / 軟X線 / リソグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度には、2つ斜入射多層膜ミラーで構成した1次元結像系を2組直交に配置する2次元結像光学系を検討し、2次元結像に好適な新奇のミラーデザインを複数見つけることに成功した。これらの設計では、球面形状のミラー形状に楕円Zernike多項式による微少変形を付加することで収差補正を行う。今年度は、初めに、楕円Zernike多項式による微少変形の研磨加工について検討を行った。具体的には微少変形の大きさ(Sag量)に、加工工程(研磨加工や形状計測)を考慮した実用的な最大値を課した条件下で、光学設計の数値最適化を行った。その結果、光学素子研磨に広く用いられる非球面加工機で加工が可能な5μm程度のSag量を最大値としても、ミラー光学系の良好な収差補正が可能であることが分かった。さらに、非球面ミラー研磨に実績がある光学メーカーと、当該ミラー形状の高精度研磨加工について議論を行い、研磨加工は既存技術の適用が可能であること、また、形状計測、とくに楕円Zernike多項式による評価にはさらに技術開発が必要であることが明らかとなった。 次に、ミラー光学系の適用が期待される600eV領域で高い反射率を持つ斜入射多層膜コーティングの探索を行った。Palickの光学定数データベースを基に、山本による物質対選択測を用いた結果、Sc/Si, Sc/Cr, Sc/Mgの3種で、入射角60°において50%以上の比較的高反射率が期待できることが分かった。さらに、得られた設計をもとに、Sc/Si多層膜ミラーを現有のマグネトロンスパッタ装置により試作した。斜入射X線反射率計測(GIXRR)の結果から、試作ミラーが良好な周期性を持つことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミラーの光学設計法の開発から、多層膜ミラーの試作へと研究が順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に試作したSc/Si多層膜ミラーのさらなる光学評価、とくに、軟X線反射率スペクトル計測、を進めるとともに、見出した他の2種の物質対についても試作と光学評価を進める。
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