2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20KK0353
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 嚥下 / 孤束核 / 三叉神経 / 侵害刺激 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は咀嚼・嚥下・呼吸・咳嗽の機能連関および嚥下誘発メカニズムの解明を目的としている.本年度は舌の機械刺激による水誘発嚥下の変調効果ならびに嚥下中枢として知られている孤束核の細胞外神経活動の変調効果を検証した.最初に咽喉頭領域への水刺激により誘発される嚥下に関与する感覚神経の同定を行った.両側上喉頭神経切断時には,水刺激による嚥下はほぼ消失されたことから,水誘発嚥下には上喉頭神経が重要な役割を果たしていると考えられた.また,水誘発嚥下回数は,舌へのピンチ刺激(侵害刺激)で有意に少なくなったが,圧刺激(非侵害刺激)では変化しなかった.過去の研究成果から,三叉神経領域へのカプサイシンによる侵害刺激が,孤束核のGABA作動性神経細胞の活性化を高め,孤束核レベルで嚥下を抑制する可能性が示されている.そこで,孤束核神経細胞から細胞外神経活動を記録し,舌へのピンチ刺激による変調効果を検証した.上喉頭神経刺激に応答する孤束核神経細胞応答を記録したところ,同定された孤束核神経細胞の多くが,同側の上喉頭神経刺激に単シナプス性の応答を示し,少数だけが多シナプス性の応答を示していた.単シナプス性および多シナプス性に応答した孤束核神経細胞には,舌へのピンチ刺激により応答潜時が延長するものが確認された.以上の結果から,舌への機械的侵害刺激は孤束核の嚥下関連神経細胞応答を変調させ,嚥下誘発を抑制している可能性が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三叉神経刺激に伴う嚥下変調効果の一端を解明することができたため.また,脳幹部からの細胞外記録に成功しており,今後の研究に活用することができる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は孤束核を標的として,嚥下中枢メカニズムの解明を行う.さらに嚥下機能と咀嚼・呼吸・咳嗽などの周辺機能と機能連関も検証していく予定である.
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