2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20KK0353
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 嚥下 / 孤束核 / WGA-HRP / CTB-HRP / モルモット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は咀嚼・嚥下・呼吸・咳嗽の機能連関および嚥下誘発メカニズムの解明を目的としている.本年度は9月より3月までジョンズホプキンス大学(米国)に留学し,組織学的研究を行った.咽頭・喉頭・食道からの求心性入力の投射部位を検証した.神経トレーサーとして,主にC線維に選択的に取り込まれるとされるWGA-HRPとA線維に選択的に取り込まれるとされるCTB-HRPを用いた.各トレーサーを右側の咽頭・喉頭・食道に3 μlずつ注入し,WGA-HRPは4日間,CTB-HRPは10日間生存させた後,注入部位,神経節および脳幹の組織切片に対して酵素組織化学染色を行った.先行研究に従って1%パラホルムアルデヒトと1.25%グルタルアルデヒドの混合液で灌流固定を行って凍結切片を作成したが,4%パラホルムアルデヒドで灌流固定したものと比較して脳切片の状態が悪く,評価が困難であった.そこで,灌流固定後ただちにビブラトームにて50-100 μmの切片を作成して染色を行った.注入部位は,いずれの組織も片側に限局していることが確認された.脳幹は,WGA-HRPでは注入側と同側の孤束核medial副核,ventrolateral副核,三叉神経傍核および両側の孤束核commissural副核に一次神経終末が確認された.一方,CTB-HRPでは注入側と同側の孤束核medial副核に一次神経終末が確認された.我々の予備実験において,孤束核medial副核,ventrolateral副核,commissural副核は,グルタミン酸受容体作用薬の微量注入で嚥下が誘発され,グルタミン酸受容体拮抗薬の微量注入で機械刺激誘発性の嚥下が抑制された領域であり,本年度の成果から咽頭・喉頭・食道からこれら領域に直接投射があることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定よりも組織実験に時間がかかり,留学中にはその他の実験を行うことができなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
嚥下誘発に関わる末梢メカニズムの解明を行う.さらに嚥下と咀嚼・呼吸・咳嗽などの周辺機能との機能連関も検証していく予定である.
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