2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20KK0353
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 嚥下 / 孤束核 / DiI / モルモット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は咀嚼・嚥下・呼吸・咳嗽の機能連関および嚥下誘発メカニズムの解明を目的としている.本年度は,咽頭・喉頭・食道からの求心性入力の投射部位を検証するために,前年度から引き続き神経追跡法を用いた組織学的検索を行った.これまでにWGA-HRP,CTB-HRPを用いて神経追跡研究を行ってきたが,新たにDiIを神経トレーサーとして用いた.右側の咽頭・喉頭・食道に3 μlずつ注入し,DiI注入後60日間生存させた後に,注入部位,神経節および脳幹の組織切片を作成した.DiI標識迷走神経求心性神経細胞数とDiI様蛍光沈着物の数をImage Jソフトウェアを用いて計測した.DiI沈着物は DiI注入同側(右側)の迷走神経節細胞に加えて孤束核内に多く観察された.その孤束核副核領域には,commissural副核,medial副核に加えて,観察された数は少ないもののintermediate副核とventrolateral副核も含まれていた.さらに疑核の運動神経細胞でもDiI標識されたが,錐体路や他の脳幹領域では,ほとんど検出されなかった.続いて,これまでの嚥下研究で示唆された孤束核神経に関連した神経ネットワークマップを考えるために, DiIをcommissural副核,medial副核,ventrolateral副核へ投与して標識領域を検索した.節状神経節および頸静脈神経節に加えて,三叉神経脊髄路核,疑核において標識細胞が確認された.一連の研究により嚥下応答に関連する喉頭,咽頭,食道からの求心性神経終末部位を識別できた.前年度までの研究成果と合わせると咽頭・喉頭・食道から孤束核medial副核,ventrolateral副核,commissural副核に投射され嚥下が駆動される神経ネットワークが考えられた.
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