2022 Fiscal Year Research-status Report
ミオシン側の新規筋収縮制御機構に着目した、反動動作におけるクロスブリッジ動態解明
Project/Area Number |
20KK0358
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
福谷 充輝 立命館大学, スポーツ健康科学部, 講師 (80722644)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | ミオシン / アクチン / ミオシン制御軽鎖 / 蛍光標識 / super relaxed state |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、キングス・カレッジ・ロンドンに滞在し、本プログラムの核となる実験を行った。本プログラムの最終目的は、ダイナミックな動作時、特に伸張性収縮時におけるミオシンヘッドの角度を計測することである。この目的を達成するために、ミオシンのヘッド部分 (ミオシン制御軽鎖の特定の場所) にbifunctional sulforhodamine probeと呼ばれる蛍光物質を付着させたミオシン制御軽鎖を作成した。これを、ウサギの大腰筋から採取した単一の筋細胞のミオシン制御軽鎖と入れ替えることで、蛍光物質を含んだ単一の筋細胞内を作成した。この単一の筋細胞を力学計測装置にセットした。この筋細胞に偏光したレーザーを照射し、蛍光物質を励起させた。ミオシン制御軽鎖の特定の場所に貼付したbifunctional sulforhodamine probe (正負の同じ大きさの単極子をわずかに離れた位置に貼付したもの) と偏光したレーザーが平行であれば最大の励起が得られ、垂直であれば励起しないという特性を利用することで、得られた蛍光強度の強さから、ミオシン制御軽鎖、すなわちミオシンヘッドの角度が計測出するというものである。計測は、単一の筋細胞を均一に収縮させるため、まずは低温状態でカルシウムイオンを添加しアクチンフィラメント側の収縮抑制機構 (トロポミオシンによるアクチンとミオシンの相互作用の阻害) を解除させ、その状態で温度を急激に生理的環境に近い温度 (27度) に上昇させることで筋収縮を誘発した。この計測を実施したことが2022年度の実績である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
筋力計測装置の改造や、ポッケルスセルの故障により、想定外の時間を消費してしまったが、現在はそれらが完了し、データ取得を進めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
データの取得が十分ではないため、2023年度も再度キングスカレッジに渡航し (夏休みと冬休み期間を利用予定)、データ取得を続ける。
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