2022 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory mechanisms for cell death and inflammatory signaling mediated by the diversity of membrane fatty acid species
Project/Area Number |
20KK0361
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平田 祐介 東北大学, 薬学研究科, 助教 (10748221)
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Project Period (FY) |
2020 – 2022
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Keywords | トランス脂肪酸 / 細胞死 / 細胞老化 / フェロトーシス / 酸化ストレス / 脂質酸化 / メカノセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、トランス脂肪酸の毒性発現(細胞死・老化促進作用)の分子機構を世界に先駆けて明らかにし、関連疾患の発症機序解明に取り組んできた。本国際共同研究では、基課題の研究計画のみでは困難であった、「外来性」トランス脂肪酸による老化促進作用の直接的な作用点(ターゲット分子)の同定を目的とした。また、本研究から発展的に見出した、「内在性」トランス脂肪酸による新規プログラム細胞死フェロトーシスの抑制機構、および生体膜リン脂質(高度不飽和脂肪酸)酸化を起点としたフェロトーシスの実行機構の解明も目指した。 外来性トランス脂肪酸の老化促進作用の作用点として、炎症(細胞老化関連分泌形質:SASP)誘導シグナルとして知られるIL-1シグナルの最上流分子、IL-1受容体を同定した。エライジン酸の存在下では、IL-1受容体は、膜環境の変化に伴ってリガンド感受性が高くなっており、DNA損傷時にSASPを亢進することで、細胞老化を促進することが明らかになった。 脂質過酸化によって惹起されるプログラム細胞死「フェロトーシス」について、通常のアラキドン酸が促進的に働く一方、内在性トランス脂肪酸の1つであるトランスアラキドン酸については、そのような促進作用が認められなかった。その作用点として、細胞膜上のフェロトーシス促進因子Xを同定し、実際に、Xの阻害剤の処置によってフェロトーシスが抑制されることが示唆された。 フェロトーシス実行機構に関する国際共同研究により、フェロトーシス誘導時の脂質過酸化は特に細胞膜上で起きており、細胞体積および細胞膜張力の増加によって、Piezo1やTRPチャネルなどの機械刺激受容チャネル分子が活性化し、細胞内外のイオン濃度勾配に従って、Na+の流入、K+の流出を引き起こすこと、これらの一価カチオンの流出入がフェロトーシスの促進に重要な寄与を果たしていることを明らかにした。
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Research Products
(15 results)