2022 Fiscal Year Research-status Report
Lipid alteration and synaptic dysfunction
Project/Area Number |
20KK0380
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
森 聡生 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (60782878)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | 神経変性疾患 / パーキンソン病 / シナプス機能 / 脂質代謝破綻 / α-シヌクレイン / エキソサイトーシス / 疾患修飾治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はパーキンソン病(PD)の新たな病態解明のために,脂質代謝異常に着目している.PDの発症に関わる遺伝子には,脂質代謝酵素をコードする遺伝子がいくつか知られている.本研究ではPDの関連遺伝子を改変したマウスから海馬一次ニューロンを作成し,ライブイメージングや生化学的解析を行った.また脳切片を使用し電気生理学的評価を行った.その結果,PD関連遺伝子改変マウスでは,シナプス放出の障害がみられた.またPDの病態に深く関わっており,神経終末に多く存在するα-シヌクレイン自体の膜への結合能の変化を海馬一次ニューロンを用いた系で見出した.α-シヌクレインは特定の脂質と結合することが知られているため,本マウスの脳からシナプス小胞のみを抽出して,LC-MSを用いた脂質解析を行ったところ,複数の脂質の変化を見出した.本マウスは表現型として,シナプス放出の障害をみとめる以外は,神経脱落がないことから,シナプス放出の障害は神経変性過程のごく初期の変化と考えられ,またα-シヌクレインはシナプス小胞の放出の調整に関わっていると考えれいる.このことから,脂質組成の変化によりα-シヌクレインのシナプス小胞への結合能が変化がシナプス小胞の放出障害ももたらしていると考えられる. 現在,マウス脳から抽出したシナプス小胞とα-シヌクレインが実際に結合変化をするかを確認するためにin-vitroの実験系の確立を行っている. またヒトの正常型と病的変異型をレンチウィルスで過剰発現させ,シナプス放出障害を是正することが出来るかを確認する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PD関連遺伝子改変マウス由来海馬一次ニューロンで,シナプス放出の障害を認め,現在は脳切片での電気生理学的評価を行っている,またマウス脳から抽出してシナプス小胞の脂質解析を共同研究機関と行っている.マウス脳から抽出したシナプス小胞とα-シヌクレインが実際に結合変化をするかを確認するためにin-vitroの実験系の確立を行っているが,計画以上に時間を費やしているが,それ以外は概ね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
マウス由来海馬一次ニューロンをつかったFluorescence recovery after photobleachin(FRAP)ではα-シヌクレインの膜への結合能が変化していることを見出した.我々の仮説としては,この結合能の変化がシナプス放出を調整していると考える.そのために,今後はマウスから抽出したシナプス小胞とα-シヌクレインの結合をin-vitroで評価する評価法を現在確立することを目標としている.
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