2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21000003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 広文 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20322034)
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Keywords | 原子・分子物理 / 高性能レーザー / 配列・配向分子 / 高次高調波発生 / 搬送波包絡位相 / 再衝突電子 / 六極集束器 / 分子偏向器 |
Research Abstract |
本研究では、全く新しい分子配向制御手法を開拓するとともに、配向した分子試料を用いた一連の研究により、「分子の新しい量子相の物理学」を開拓することを目的としている。 (1)先に、OCS分子を試料とし、非共鳴ナノ秒2波長レーザー電場を用いて断熱領域における全光学的分子配向制御に初めて成功していたが、本年度はC_6H_5I分子を試料とし、Even-Lavie valveを用いて初期回転温度を下げることにより、有意な配向を実現するとともに本手法の汎用性の実証に成功した。 (2)一方、いわゆるthermal ensembleを用いる限り、応用実験にも利用できるような高い配向度を実現することが困難であることが明らかになった。このため、量子状態選択された分子試料に対し、非共鳴2波長レーザー電場を用いる手法により高い配向度の達成を目指すことを決断した。現在、主として対称コマ分子の量子状態選択に適する六極集束器と主として非対称コマ分子の量子状態選択に適した分子偏向器の開発を進めている。(六極集束器の開発に当たっては、大阪大学大学院理学研究科化学専攻の笠井俊夫教授にご協力いただいた。ここに記して謝意を表する。) (3)フェムト秒のポンプ光を照射することにより配列したN_2,O_2,CO_2分子を試料とし、波長1300nmのプローブ光を照射することにより発生する高調波を観測した。特にCO_2分子の場合には、ポンプ光とプローブ光間の遅延時間の関数として観測されるイオン信号の変調と高調波信号の変調が逆相関を示す領域が現れる。この逆相関を示す高調波の光子エネルギー領域が波長800nmのプローブ光を用いたときとほぼ同じであることが確認できた。このことは、2中心干渉モデルの描像の妥当性を示している。
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